グレコローマンのクリンチ・ルールがほぼ固まる【2009年4月10日】



 今年に入っての国際大会でテスト・ルールを実施していた男子グレコローマンのルールが、ほぼ固まった。3月31日から4月5日までリトアニアで行われた欧州選手権に参加したオリンピック審判員の斎藤修・日本協会審判委員長(千葉・佐倉南高教)が明らかにした。正式には各大陸選手権が終わった5月末の国際レスリング連盟(FILA)の理事会で決定されるが、欧州選手権の3日前にFILAの審判委員会が開かれ、欧州選手権で運用されたルールが正式ルールとなることは、ほぼ間違いないという。

 新ルールは2月の欧州遠征で全日本チームが経験しており、基本的にはその時のルール…「スタンド戦1分30秒、グラウンド戦は一方の攻撃によってスタートし30秒。従来のクロス・ボディ・ロックかノーマル・パーテル・ポジションによるスタート」…が採用される。第3ピリオドのグラウンドの攻撃権の決め方が、当初通達され、2月のダン・コロフ国際大会(ブルガリア)で実施されたルールから変わった。


 グラウンド戦における攻撃権は、いずれのピリオドでも1分30秒のスタンド戦でポイントをリードした選手に与えられる。この場合は。仮に30秒の攻撃でポイントを取れなくとも、相手にポイントが与えられることはなく、そのままのスコアで攻撃の選手がそのピリオドを取る。

 スタンド戦が0−0で終わった場合は、最初のピリオドは赤の選手の攻撃でグラウンド戦がスタート。2度目に起こった場合は青の選手の攻撃でスタート。この場合は、30秒で攻撃の選手がポイントを取れないと相手に1点が与えられる。すなわち、守り切った選手が1−0でそのピリオドを取ることになる。

 ピリオドスコアが1−1で、第3ピリオドのスタンド戦が0−0で終わった場合、第1・2ピリオドの内容(ポイントの合計等)で上回っている選手に攻撃権が与えられ、この場合は仮にポイントを取れなくとも相手にポイントが与えられることはない。

 内容がすべて同じだった場合は、レフェリーによってボールピックアップが行われ、出たボールの色の選手に攻撃権が与えられる。この場合、30秒の攻撃でポイントが取れない場合は相手に1点が与えられる。すなわち、守り切った選手が1−0で勝つことになり、試合の勝者となる。

 2月の段階では、出たボールの色の選手が攻撃か防御かを選ぶことができた。防御に自信のある選手は、攻撃よりも防御を選択し、30秒を守り切って勝利を目指すことができたが、こうした作戦が使えなくなった。


 斎藤審判委員長は「どの選手もスタンドでポイントを取ろうと必死になっていた」と話しており、グラウンドの比重が大きかったグレコローマンは、スタンドの比重が大きくなりそう。また、これまでのグラウンド攻防は、よほどのことがない限りスタンドが命じられることはなかったが、技の進展がなく、時間稼ぎとしか思えない場合には15秒くらいでスタンドが命じられることが目についたという。

 同委員長は、今月25・26日に横浜市で行われるJOC杯ジュニアオリンピックは、「このルールを適用したい」との考えを示した。

(注)ルールの条文は、審判委員会によって発表されたあと、掲載します。
 


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