新ルール「チャレンジ」(ビデオ・チェック要求)が国内初実施【2009年4月28日】



 4月25〜26日に神奈川・横浜文化体育館で行われたJOC杯ジュニアオリンピックで、各階級の決勝戦で国際レスリング連盟(FILA)が今年から導入したセコンドによるビデオチェック要求「チャレンジ」が、国内で初めて導入された。

 当初は全試合実施する予定だったが、時間の関係もあって決勝のみに限定して実施。新ルール下では、審判の意思によってビデオチェックは行われないため、準決勝まではビデオを一切使わずに判定が下された。

 初日に決勝まで行った女子では、「チャレンジ」を行使した試合はなし。男子では2試合で行使された。最初はジュニア・フリースタイル55kg級決勝、森下史崇(茨城・霞ヶ浦高)−利部裕(国士大)で、第1ピリオドの終了間際の技をめぐって国士大サイドが「チャレンジ」。ビデオチェックの結果、時間内の技と認定されて判定は変わらず、森下に1点が加わった。

 「チャレンジ」は、アピールが通らないと相手に1点が入り、その後は行使できなくなるため、出しどころが難しいと考えられる。国内で初めて「チャレンジ」を行使した国士大の和田貴広コーチ(左写真)は「韓国遠征の際に全韓大会を見て、何度も目にしていたので、ためらうことなく要求できました」と話した。

 2番目は同60kg級決勝の田中幸太郎(早大)−有島義弘(日体大)戦。第2ピリオド、グラウンドで田中の仕掛けた技にからんで、当初の審判の判定は田中の3−0だったが、ここで日体大サイドが「チャレンジ」。ビデオチェックの結果(右写真)、田中が3点、有島が2点と判定され、スコアの逆転はなかったものの「チャレンジ」が通った。

 「チャレンジ」を要求したのはセコンドに座っていた男子フリースタイル60kg級の前田翔吾選手。「田中のクラッチが切れていたので、3−0はおかしいと思った」と自信を持っての行使。結果として追いつくことはできなかったが、0−3と2−3とでは闘う気持ちも違うであろうから、価値ある「チャレジ」だった。

 日本協会の斎藤修審判委員長(千葉・佐倉南高教)は「世界で決められたルールを国内でも実施してほしい」と、傘下連盟にも「チャレンジ」の採用を求めていくという。


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