女子72kg級のステファニー・リーがドーピング違反で全米チャンピオンはく奪される【2009年5月15日】



 米国アンチ・ドーピング機構(USADA)は5月13日、4月の全米レスリング選手権(ラスベガス)の女子72kg級で優勝したステファニー・リーに、ドーピング違反で3ヶ月の出場停止処分を下したと発表した。リーは全米チャンピオンの資格をはく奪されることになりそうだが、USADAの教育プログラムを受講したことで出場停止の処分を免除され、今月末の世界選手権代表選考会(チーム・トライアル)にはノーシードの選手として出場を許される予定だという。

 USADAの発表によると、全米選手権決勝の行われた4月9日に実施したドーピング検査で、大麻(マリファナ)の代謝物質である「カンナビドノド」という成分が検出されたという。これは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)によって禁止リストに入っている成分。

 ただし筋肉増強剤などと違い、無条件の禁止薬物にはなっていないそうで、処分は競技期間中の検査に違反した場合のみ適用される。昨年の北京五輪で1大会として史上最多となる8個の金メダルを獲得した競泳のマイケル・フェルプス選手(米国)に大麻を吸っていた疑惑が持ち上がり、本人も謝罪しているが、メダルのはく奪はなかった(米国水泳連盟からは3カ月間の大会出場停止と強化費の支給停止の処分を受けた)。リーの場合は大会後のドーピング検査で陽性反応を示したため成績の抹消となるもようだが、ドーピング違反の規定である「2年間の出場停止」とならなかったのは、無条件の禁止薬物ではないためと推定される。

 日本では昨年来、大相撲、テニス、ラグビー、陸上などの選手が大麻使用で逮捕されたり、選手生命を絶たれるなど厳しい制裁を受けており、法的にも許されない行為となっている。

 ハワイ出身のリー(24歳)は2004・06・08年のパンアメリカン・チャンピオンで、2008年は世界学生選手権で優勝し、東京で行われた世界女子選手権にも出場した。今年3月に中国で行われたワールドカップでは北京五輪金メダリストの王嬌を破って(左写真)個人優勝を遂げ、2012年ロンドン五輪に向けて台風の目となることが予想されている。


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