【特集】日体大のが城を破るも、またも拓大に敗退…無念の早大【2009年5月23日】



 120kg級にエントリーされた山口剛がストレートで勝利を収めると、山口の片手は力なく上がった(右写真)。東日本学生リーグ戦(5月20日〜22日・東京・駒沢体育館)の決勝戦、Aグループ優勝の拓大とBグループ優勝の早大が、お互いの意地をプライドをかけて正面からぶつかり合ったが、3−4で早大は敗北。早大の“61年ぶりリーグ戦制覇”の夢は今年も叶わなかった。

 大会2日目の日大戦で黒星を喫した早大は、全勝で最終日を迎えた日体大と雌雄を決する時がきた。スター選手ぞろいの早大に対して、日体大もナショナルチーム・メンバーが2人も在籍。優勝候補同士の戦いが始まった。

 55kg級の藤元洋平(早大)が守田泰弘(日体大)との元三井高(福岡)の同門対決を制すると、60kg級の松本桂が全日本王者の前田翔吾をタックルなどで下す。日体大の看板階級を2つたたいたことで、流れは早大ペースとなり、最後は5−2で勝利。昨年の全日本学生王座決定戦に続いてのタイトル獲得に期待がかかった。

■仇(あだ)となった55kg級の勝利後の余裕

 拓大との決勝戦でも藤元は大活躍。タックルを皮切りにストレートで難なく勝利を収めた(左写真)。だが、太田拓弥コーチが、「石田智嗣や山口が控えていたので、藤元が勝って、『あと1勝だな』という気持ちが仇(あだ)となってしまった」と悔やむように、早大チームに無駄な余裕が出てしまった。

 60kg級の松本桂と66kg級の石田、74kg級で主将の松本聖矢と3階級連続で敗退。「重量級勝負になると思って120kg級に山口を置いた」という太田コーチの布陣もむなしく、96kg級の武富隆が敗れた瞬間に早大の夢は散った。

 チーム内唯一の55kg級選手として全試合に出場し、8勝1敗の成績を収め、大会優秀選手に選ばれた藤元は「満足していない」とキッパリ。「今までは負けてもそこまで落ち込まなかったが、今回は悔しくて仕方がない」と無念さをあらわにした。この悔しさをバネに9月の全日本学生王座決定戦で雪辱なるか―。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


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