西牧未央(中京女大)ら5選手が優勝…ゴールデンGP「オーストリア女子オープン」【2009年6月15日】



 【ゲツィス(オーストリア)、ビル・メイ記者】女子のゴールデンGP予選大会「オーストリア女子国際大会」は6月13日、オーストリア・ゲツィスで行われ、63kg級世界チャンピオンの西牧未央選手(中京女大)がワールド・カップで個人優勝したジャスチーン・ブシャード(カナダ)を破って優勝、最優秀選手に選ばれた(右写真)

 西牧は4試合で43ポイントをマークし、ハイ・レベルの攻撃レスリングを見せた。2失点はローリングのミスで審判団が両者2点と判断したもの。

 西牧のほか、48kg級の坂本真喜子(自衛隊)、51kg級の甲斐友梨(アイシン・エイダブリュ)、55kg級の松川知華子(ジャパンビバレッジ)、72kg級の新海真美(アイシン・エイダブリュ)の4選手が優勝。48kg級の鈴木綾乃(ジャパンビバレッジ)が銀メダル、59kg級の伊藤友莉香(環太平洋大)と72kg級の佐野明日香(自衛隊)が銅メダルを取り、出場した8選手全員がメダルを獲得した。

 国別対抗得点は日本が57点で優勝。カナダが51点で2位、ドイツが47点で3位だった。

 大会には19ヶ国から86選手が参加。大会役員によると、大会最多ではないものの、出場した選手のレベルなどを考えるとこれまでで最もハイ・レベルの大会だったという。日本チームは18日まで現地で地元チームほかと合宿し、20日帰国する。

 各選手の成績は下記の通り。(撮影もビル・メイ記者)

団体優勝のトロフィーを受ける佐野主将。 優勝選手による記念撮影。 ビル・メイ氏の差し入れたチェコのスパークリング・ワインで勝利の乾杯

 【48kg級】坂本真喜子(自衛隊)   優勝=16選手出場

1回戦 ○[フォール、1P=1:12(F4-0)]Filiz CIKIRIKCI(トルコ)

 《試合経過》坂本はハイクラッチのタックル2度決め、2度目のタックルの時にフォールの状態に持ち込み、そのまま押さえた。
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2回戦 ○[2−0(2-0,2-0)]Fani PSATHA(ギリシャ)

 《試合経過》元欧州2位の選手に対して、坂本は1ポイントのテークダウンを繰り返し、危なげなく勝利を挙げた。
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準決勝 ○[フォール、2P=0:39(3-0,F3-0)]Christina CROITORU(ルーマニア)

 《試合経過》第1ピリオド、坂本にフォールのチャンスがあったが、相手が足がひねられていると声を出し、不本意なブレーク。第2ピリオドは坂本がきれいなタックルを入ってテークダウンを奪い、フォールした。
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決 勝 ○[2−0(4-1,1-0)]鈴木綾乃(ジャパンビバレッジ)

 《試合経過》坂本は相手のタックルをかわしてのゴービハインド(バックを取る)を繰り返し、若いチームメートに一方的な勝利。

初戦のトルコj戦。坂本はタックルからフォールを狙う。 準決勝、坂本はルーマニアにタックルを決める。 姉・日登美の指示を受ける坂本。

 【48kg級】鈴木綾乃(ジャパンビバレッジ)   2位=16選手出場

1回戦 ○[フォール、1P=0:49(F5-0)]Katia GALLO(フランス)

 《試合経過》鈴木のタックルに対して相手がカウンターを仕掛ける。しかし鈴木が上になって、そのままフォール。
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2回戦 ○[2−0(1-0,1-0)]Julita OMILUSIK(ポーランド)

 《試合経過》ポーランドの二番手選手に対し、鈴木が片脚タックルを1度ずつ決め、いずれのピリオドもその後を守り切って快勝した。
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準決勝 ○[2−0]Ashley McKILLIGAN(カナダ)

 《試合経過》鈴木が第1ピリオドに一度片脚タックルを決め、第2ピリオドはタックルのカウンターとタックルと返しで決勝に進んだ。
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決 勝 ●[0−2(1-4,0-1)]坂本真喜子(自衛隊)

※坂本真喜子の項参照

準決勝、カナダ選手を攻める鈴木。 表彰台の1位、2位を日本選手が占めた。

 【51kg級】甲斐友梨(アイシン・エイダブリュ)   優勝=12選手出場

1回戦 ○[フォール、1P=0:30(F3-0)]Francine DE PAOLO(イタリア)

 《試合経過》甲斐は両脚タックルから一気にフォールへ。欧州3位のデパオロをあっさり破った。
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2回戦 ○[2−0(1-0,@L-1)]Sofia MATTSSON(スウェーデン)

 《試合経過》甲斐がローシングルで第1ピリオドを先取。第2ピリオドは場外に出されて、リードを許したものの、またローシングルで1点。1−1のラストポイントでジュニアの世界チャンピオンを破った。
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準決勝 ○[2−0 (TF6-0=1:36,TF6-0=0:58)]Dilek ATAKOL(トルコ)

 《試合経過》甲斐が切れのいいタックルとタイミングの良いグラウンド攻撃でたたみこみ、一方的な勝利を挙げた。
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決 勝 ○[2−0(2-0,3-0)]Gen HALEY(カナダ)

 《試合経過》手足の長い相手に対して甲斐が両脚タックルを4度決め、安定した勝利で国際大会初優勝を決めた。

2回戦、元48kg級世界ジュニア・チャンピオンを攻める甲斐。 決勝戦、“フライング・タックル”と言いたくなるようなタックルが決まった。 決勝戦、優勝を目指して攻撃を続ける甲斐。 国際大会初優勝を達成。

 【55kg級】松川知華子(ジャパンビバレッジ)   優勝=13選手出場

1回戦 ○[フォール、1P=0:21(TF6-0=0:59,F4-0)]Dorina PETER(オーストリア)

 《試合経過》第1ピリオド、松川が相手の胸にクラッチを組んで倒し、横崩しでテクニカルフォール勝ち。第2ピリオドはテークダウンからすぐにネルソンを掛けてフォール。
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2回戦 ○[フォール、1P=1:56(F6-1)]Sylwia BILENSKA(ポーランド)

 《試合経過》元欧州3位の選手に対して、松川が積極的に攻め、最後は相手のタックルをカウンターで返してフォール。
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準決勝 ○[2−0(2-1,3-0)]Gudrun HOEIE(ノルウェー)

 《試合経過》38歳ながら世界V4の実績を持つホイエに対して慎重な試合運び。ゴービハインドを確実に取っていって勝った。
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決 勝 ○[フォール、2P=0:24(TF0-6=0:45,F3-0)]Jillian GALLAYS(カナダ)

 《試合経過》第1ピリオド、松川はバックを取られた後、アンクルホールドを繰り返されてしまって0−6のテクニカルフォール。第2ピリオドに入ると、四つ組を組んで横捨て身の投げ技で倒し、がっちり抑えてフォール。

2回戦、松川は元欧州3位のポーランド選手にフォール勝ち。 準決勝、38歳とはいえ世界V4のホイエと闘う松川。 決勝、松川は第1Pを取られながら第2Pでフォール勝ち。 5月のアジア選手権に続いて金メダル獲得。

 【59kg級】伊藤友莉香(環太平洋大)   3位=14選手出場

1回戦 ○[2−0(5-0,4-0)]Heidi ERDLE(カナダ)

 《試合経過》伊藤は片脚タックルと両脚タックルをよくミックスして、自分のペースで一方的な勝利。
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2回戦 ●[1−2(@L-1,0-3,1-@L)]Johanna MATTSSON(スウェーデン)

 《試合経過》大陸チャンピオン対決。伊藤が第1ピリオドのラスト20秒に片脚タックルで先取。しかし、第2ピリオド、背中から倒されてしまい、ピリオドドスコアは1−1。第3ピリオドは伊藤が両脚タックルに入り、場外に出して先制。しかし、欧州チャンピオンの相手が自分の両脚をかけて仕掛けられ、痛恨の1失点を喫した。
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敗者復活戦 ○[フォール、2P=0:48(4-CB,F4-0)]Andrea SIMON(ルーマニア)

 《試合経過》伊藤が飛行機投げで投げられて、ニアフォールの状況へ。かろうじて逃げて同点までに粘ったが、ビッグポイントの差で第1ピリオドを落とした。しかし、第2ピリオドの開始のホイッスルからすぐ両脚タックルを決め、フォールの状態に追い込んでそのままフォール。
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3位決定戦 ○[2−0(TF6-0=2:00,2-0)]Yvonne ENGLICH(ドイツ)

 《試合経過》伊藤ががぶりからえび固めを取ってテークダウン。相手が下はグリップを取って逆転フォールを狙ったが、ピリオド終了。伊藤は第2ピリオド、押し出して1ポイントを取り、その後のうまい試合運びで失点をゆるさない。最後にバックを取って、2−0で勝った。

1回戦、伊藤はカナダにタックルを決める。 アジアと欧州のチャンピオン同士の対戦。伊藤が惜敗した。 敗者復活戦、伊藤はルーマニアにフォール勝ち。 表彰台の一番高いところではなく、不満そうな伊藤。

 【63kg級】西牧未央(中京女大)   優勝=11選手出場

1回戦 ○[フォール、2P=0:57(2-0,F5-0)]Paulina GRABOWSKA(ポーランド)

 《試合経過》西牧がローシングルやゴービハインドなどで攻め、第2ピリオドにバックを取って腕取りから返してフォール勝ち。
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2回戦 ○[2−0(3-0,TF6-0=0:27)]Fabienne WITTENWILER(スイス)

 《試合経過》第1ピリオド、西牧が3回のゴービハインド。第2ピリオドに入って、西牧のパーテルポジションからの攻撃が効いて、すぐもテクニカルフォールを決めた。
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準決勝 ○[2−0(TF7-0=0:54,TF10-2=1:34)]Tamara WITTENWILER(スイス)

 《試合経過》2回戦の相手の妹に対して、パーテールポジションからの攻撃を続けて2ピリオドともテクニカルフォール。失点はガッツレンチのひとつが両者2点になったもの。
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決 勝 ○[2−0(5-0,5-0)]Justine BOUCHARD(カナダ)

 《試合経過》西牧はタックルやニアフォールで第1ピリオドを先制。第2ピリオド、両脚タックルから場外に倒して3点。それから2度ゴービハインドを取り、差を広げて試合終了。

2回戦、スイス選手を攻める世界チャンピオンの西牧。 決勝、西牧の攻撃レスリングがさえ、5−0、5−0で快勝。 地元の世界V5ハートマンと西牧。

 【72kg級】佐野明日香(自衛隊)   3位=10選手出場

1回戦 ●[1−2(4-3, 1L-1, 2-3)]Jenny FRANSSON(スウェーデン)

 《試合経過》柔道出身の佐野が体落しのような投げ技に投げられたが、タックルとニアフォールで逆転。第2ピリオド、佐野がゴービハインドで1点を取って勝利を近づけたが、北京五輪出場の相手から場外に出されてしまい、ピリオドスコアは1−1となった。第3ピリオドに佐野が両脚タックルを仕掛けたが、相手のカウンター攻撃で0−3。佐野がバック2度取ったが、追いつかなかった。
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敗者復活戦 ○[フォール、2P=0:51 (3-0, F4-0)]Diana MUDRAG(ルーマニア)

 《試合経過》佐野が第1ピリオドの終盤に片脚タックルで先制。第2ピリオドは両脚タックルからのフォールで勝利。
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3位決定戦 ○[2−0(1-0=2:30, 1-0)]Katerina BURMISTROVA(ウクライナ)

 《試合経過》第1ピリオドの終盤、佐野が両足タックルを取ったようだが認めらず、クリンチへ。ボール・ピックアップで相手の攻撃権となったが、佐野がうまく守って先制。第2ピリオドに両足タックルを取った相手は、その後必死に押し出し狙ったが、佐野が粘って逃げ切りました。

1回戦、タックルを仕掛けた佐野だが、タックル返しを受けた。 敗者復活戦、ルーマニアにフォール勝ちして3位決定戦へ。 3位決定戦、67kg級元世界チャンピオン相手に佐野がタックル。

 【72kg級】新海真美(アイシン・エイダブリュ)   優勝=10選手出場

1回戦  BYE
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2回戦 ○[2−0 (3-0, 7-0=1:28)]Raphaela KOPETSCHEK(ドイツ)

 《試合経過》第1ピリオドを取った新海は、第2ピリオドにローリングを2度決めるなど攻撃し、テクニカルフォールで勝った。
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準決勝 ○[2−0 (1-0, @L-1)]Svetlana SAYENKO(ウクライナ)

 《試合経過》欧州3位・2005年年世界3位の相手対して、新海が場外に出して第1ピリオドを先制。第2ピリオドはリードをされたものの。ラスト15秒にこの試合の唯一のタックルを決めて決勝戦に進んだ。
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決 勝 ○[フォール、2P=0:50 (1-0, F2-0)]Jenny Fransson(スウェーデン) 

 《試合経過》新海は相手の投げ技をうまく切って、ラスト5秒にバックを取って先制。第2ピリオド中盤、もつれてしまったが新海が上になり、フォールして優勝。

決勝、新海がスウェーデンにタックル仕掛ける。 決勝、カウンターを受けたが、新海が上になる。 表彰式。1位と3位に日本選手が入った。

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