【特集】沖縄インターハイへの強化が実った! 初の沖縄チャンピオン誕生…男子85s級・与那覇竜太【2009年6月15日】



 2010年のインターハイは日本最南端の沖縄県で開催される。地元優勝を目指して6年前からキッズレスリングの強化に当たっている屋比久保・浦添工高監督のちびっこ指導がついに結果を出した。

 男子85s級の与那覇竜太(沖縄・仲西=右写真)が沼尻直杯全国中学生選手権で4試合を勝ち抜いて初優勝を遂げた。沖縄初の全国中学生チャンピオンとなった与那覇は、初優勝にもかかわらず大会のMVP(沼尻直杯)にも輝き、優勝カップを手に笑顔を満面の笑顔を見せた。

■相撲と柔道で鍛えた安定した下半身

 安定した下半身で、4月のJOC杯ジュニアオリンピックのグレコローマン85s級でも優勝を飾っている。今大会はフリースタイルに挑戦して、今季2度目のタイトルを獲得した。

 小学校までは相撲と柔道をやり、県でナンバーワンの逸材。高校のインターハイを出場を夢見て、運動能力抜群の与那覇が選んだ競技はレスリングだった。「今はレスリングしかやっていません」と、ひとつに絞って練習を積んでいる。だが、柔道や相撲で培った重たい腰は今でも健在だ。

 昨年は3位に入賞し、今年は全国制覇を狙っていた。「けっこう自信は持っています」と話し、自分を信じて試合ですべて力を出し切るタイプ。初戦はわずか53秒でフォール勝ちと幸先いいスタートを切ったが、その自信が2回戦で裏目に出てしまう。年下の2年生選手、武田光司(埼玉・川柳)に大技を食らって4失点。勝ったものの、「気を抜いてしまった」と、油断したことを悔いた。

■決勝は完ぺきなレスリングで圧勝

 だが、そのつまずきがあったから、決勝戦では「最初から100パーセントでいこう」と決意。エンジン全開で闘い、第1ピリオドはタックルからのアンクルホールドでわずか16秒でものにすると、第2ピリオドも開始直後に手をすくってそのままフォールし、完ぺきなレスリングで優勝に花を添えた。

 来年に迫るインターハイに向けて、地元・沖縄は盛り上がっている。与那覇が所属するクラブの母体である浦添工高は、すでに今年のインターハイ出場を決め、8月の奈良で来年の試運転を図る。もちろん、与那覇は来年、浦添工高に進学して試合に出る青写真を描いている。

 「インターハイに出場して、世界で活躍できる選手になりたい!」と笑顔で大きな夢を話した与那覇。沖縄生え抜きのスーパースターが誕生するか。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


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