【特集】創部5年目で2人のチャンピオンが誕生! 中村倫也、山田来哉(花咲ジュニア)【2009年6月15日】



 埼玉県にある花咲徳栄高は昨夏、創部4年にしてインターハイで団体2位で、インターハイチャンピオンを輩出した。その花咲徳栄高を母体とする花咲ジュニアの選手の成長も著しい。沼尻直杯全国中学生選手権で、男子42s級の中村倫也(埼玉・春野)と47s級の山田来哉(埼玉・加須東)が優勝し、花咲ジュニア創立5年目にして初のチャンピオンとなった。

 中村は昨年、38s級で準優勝し、あと1歩の結果だった。「悔しかった。足りなかったものは気持ちでした」と話す中村は、この1年間、メンタル面の強化に力を入れてきた。決勝戦(右写真)の第1ピリオドはすくい投げで3失点したが、「周囲のおかげでリラックスできた」と、すぐ気持ちを切り替えて7−3と逆転。第2ピリオドは8−1でテクニカルフォールを決めて快勝した。「強くなりたいから」という思いで、電車で片道1時間かけて大宮市内から花咲徳栄のある加須市に通っている。中村は「その努力が報われました」と笑顔を見せた。

 47s級の山田は、1年生の時は1回戦敗退、2年生では3回戦敗退で、この大会ではまだ入賞がなく、今年の大会にかけていた。決勝戦の相手は、タックル王子こと高谷惣亮(拓大)の弟・高谷大地(京都・網野)。兄貴さながらの鋭いタックルとスピードを武器に決勝まで勝ち上がってきた。山田は「対戦したことがないし、スピードと強いいなしに対して、最初は何をしていいか分からなかった」と、第1ピリオドを奪うが、第2ピリオドで逆襲されてしまう。第3ピリオドもタックルを受けて1失点。流れは高谷に傾き始めた。

 後がなくなった山田は、第3ピリオドの中盤に勝負に出る。「負けていたのでタックルで決めようと思った」と相手の懐にいいタイミングで入ると、そのまま高谷をかつぎ上げてテークダウン。5点技を決めて勝負を決めた(左写真)。「試合で5点技を決めたの初めて。持ち上げようとしたら相手が軽かったので」とサラリと言ってのけた。それもそのはず、「持ち上げの練習はよくしています」とのこと。ふだんの練習の努力が実った格好だ。

 中村、山田ともに「来年は花咲徳栄に進学したい」と話す。「次は受験だね?」の問いに、2人とも、力強くうなずいた。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


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