【特集】明治乳業杯全日本選抜選手権(6・20〜21日)展望【2009年6月18日】



 今年の世界選手権(9月21〜27日、デンマーク・ヘルニング)の男子の日本代表選考を兼ねた明治乳業杯全日本選抜選手権は、6月20〜21日に東京・代々木競技場第二体育館で行われる。昨年12月の天皇杯全日本選手権のチャンピオンが優勝すれば、世界選手権の代表へ。別の選手が優勝すれば両者の間でプレーオフが当日に行われる(全日本チャンピオンが出場しない階級は、今回の優勝選手が代表へ)。

 書く階級の見どころをさぐった。(エントリー選手スケジュール等前年チャンピオン・プロフィール全日本チャンピオン・プロフィール

 なお、21日には女子でただ1階級、世界選手権の代表が決まっていない59kg級のプレーオフが、山名慧(アイシン・エイダブリュ)と正田絢子(京都・網野高教)との間で行われる。


 ◎フリースタイル

 【55kg級】

 全日本チャンピオンの湯元進一(自衛隊=右写真)に挑む一番手は、同2位で世界学生王者の稲葉泰弘(警視庁)。2月の全日本チームの欧州遠征ででも対戦し、「ヤシャ・ドク国際大会」では湯元が、「ダン・コロフ国際大会」では稲葉が勝利。両者間に実力差はほとんどない。ただ、湯元が負傷で5月のアジア選手権を棄権したのに対し、稲葉は4月の「ウズベキスタン・カップ」で2位に入っている。勢いの差が出るか。

 昨年の学生二冠王の守田泰弘(日体大)は5月の東日本学生リーグ戦はやや不調だった。盛り返すことができるか。湯元に代わってアジア選手権出場の機会を得た清水聖志人(TEAM REVERSAL)、2006年アジア大会銅メダリストの田岡秀規(自衛隊)らが両者の闘いに割って入れるか。


 【60kg級】

 若き全日本チャンピオンの前田翔吾(日体大=右写真)に、北京五輪銅メダリストの湯元健一(ALSOK総合警備保障)が挑む。全日本選手権を欠場した湯元は約10ヶ月ぶりの試合。五輪時の強さを見せられるか。

 全日本選手権で前田に屈した2006年世界3位の高塚紀行(日大コーチ)はリベンジするとともに、日本代表への返り咲きを狙う。全日本選手権2位の大館信也(自衛隊)、学生王者の洞口幸太(日体大)らが上位に食い込むことができるか。5月の東日本学生リーグ戦で前田を下した松本桂(早大)も一気にブレークする可能性を持つ。


 【66kg級】

 世界学生王者、アジア選手権2位にして全日本チャンピオンの米満達弘(自衛隊=右写真)が第一人者の地位を守ることができるか。米満は2006年アジア大会銀メダリストの小島豪臣(K−POWERS)には一度も勝っていない(不戦勝を除く)。苦手選手を撃破して真の日本代表を名乗りたいところ。小島は全日本選手権で負った負傷の回復具合はどうか。

 2004年アテネ五輪・2008年北京五輪代表の池松和彦(福岡大助手)がベテランの味を発揮して両者の闘いに割って入れるか。藤本浩平(警視庁)。佐藤吏(ALSOK綜合警備保障)ら全日本上位の常連のほか、全日本2位の森川一樹(山梨学院大)、JOC杯ジュニアオリンピック優勝の石田智嗣(早大)らの若手の台頭も望まれる。


 【74kg級】

 全日本選手権3度優勝ながら、まだ世界選手権への出場がない長島和幸(クリナップ=右写真)が、今度こそ世界選手権へのキップを手にするか。全日本2位の萱森浩輝(新潟・新潟県央工高教)は4月の「ウズベキスタン・カップ」で3位入賞の好成績。この勢いをぶつけて2年ぶりの世界選手権出場を果たしたい。

 全日本選手権は体調を崩して棄権した全日本大学王者の高谷惣亮(拓大)、全日本3位の鈴木崇之(警視庁)らの台頭は? 昨年、高校2年生にして三冠王に輝いた北村公平(京都・京都八幡高)のファイトにも注目。


 【84kg級】

 全日本チャンピオンの小幡邦彦は現役引退を表明し不出場。空いたイスを目指し、全日本2位の松本篤史(日体大)、同3位の門間順輝(秋田県協会)、元全日本王者の松本真也(警視庁)らが争うことになるか。JOC杯ジュニアオリンピック優勝の山口剛(早大)の若い力の台頭も望まれる。


 【96kg級】

 全日本チャンピオンの松本慎吾は不出場。同2位の下屋敷圭貴(NEWS DERI)、同3位の坂本憲蔵(自衛隊)、藤本健治(拓大)、昨年王者の磯川孝生(徳山大職)らが日本代表の座を狙う。


 【120kg級】

 世界ジュニア3位で全日本チャンピオンの荒木田進謙(専大=右写真)が頭ひとつリードしている状態。全日本2位の相沢優人(日大)、同3位の高林努(児島マリンプール)らが対抗となろうが、過去の対戦の内容からすれば下中隆広(国士舘大大学院)が打倒荒木田の可能性も一番秘めていそう。


 ◎グレコローマン

 【55kg級】

 全日本チャンピオンの長谷川恒平(福一漁業=右写真)は、冬の欧州遠征で2大会(ニコラ・ペトロフ国際大会=ブルガリア、ハンガリー・カップ)で連続優勝。5月のアジア選手権でも優勝し、頭ひとつ抜け出した状況。快勝して初の世界選手権出場を決めるか。

 全日本2位の峯村亮(神奈川大職)は、同決勝では長谷川に惜敗だった。わずかの差を埋めることができるか。同3位の梶雅晴(山梨学院大)と尾形翼(日体大)の若手選手や2000・01年全日本王者のベテラン、村田知也(三重・久居高教)が両者の間に割って入れるか。


 【60kg級】

 アジア3位で全日本チャンピオンの佐藤亮太(カンサイ=右写真)を追う一番手は、全日本2位で3月の「ハンガリー・カップ」で3位に入った谷岡泰幸(自衛隊)と思われた。しかし、2007年世界2位で北京五輪代表の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)の参戦で、むしろ両選手が打倒笹本に挑む図式となりそう。笹本は全日本選手権は66kg級に出場した。今回は本来の階級での参加。五輪3度連続出場の実力を発揮できるか。

 国体王者の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)、全日本選手権で松本を破った城戸義貴(自衛隊)らも上位を狙う実力は十分にある。


 【66kg級】

 全日本チャンピオンの藤村義(自衛隊=右写真)に対し、同2位の清水博之(自衛隊)、同3位の江藤紀友(自衛隊)の同門選手が挑む。同3位の岡本佑士は、全日本選手権では階級を上げて挑んできた北京五輪60kg級代表の笹本睦を破った成長株。半年間でどれだけ伸びているか。

 学生2位の井上智裕(日体大)、同3位の成瀬一彦(警視庁)、JOC杯ジュニアオリンピック優勝の富塚拓也(日体大)ら若い力の台頭はあるか。


 【74kg級】

 2007年世界選手権代表の鶴巻宰(自衛隊=右写真)が、全日本選手権に続いて勝って世界選手権のキップを手に入れるか。5月のアジア選手権は3位に入賞と実力を維持している。同2位の金久保武大(日体大)は、2月の「ニコラ・ペトロフ国際大会」(ブルガリア)でも鶴巻と対戦し、惜敗している。あと一歩の壁を乗り越えられるか。

 昨年のこの大会で、無名の存在から優勝した葛西直人(自衛隊)は勤務の関係で全日本選手権は不出場だった。1年前の再現なるか。


 【84kg級】

 全日本チャンピオンの斎川哲克(両毛ヤクルト販売=右写真)を、同2位の伊藤諒(自衛隊)、同3位の岡太一(拓大)と杉平大輔(国士舘大)が追う展開。

 斎川はアジア選手権では初戦敗退の屈辱。世界選手権で雪辱するためにも、勝ち抜かねばなるまい。


 【96kg級】

 全日本チャンピオンの北村克哉(FEG=右写真)が首ひとつ抜け出ている状況。冬の欧州遠征とアジア選手権での経験を生かし、世界選手権の出場権を手にできるか。

同2位の森保弘(三重・朝明高教)、同3位の山本雄資(警視庁)、松永隆司(和歌山県協会)らがそのが城を崩すことができるか。


 【120kg級】

 全日本選手権決勝は、中村淳志(カンサイ=右写真)と新庄寛和(自衛隊)が大接戦。中村の手が上がったが、実力差はほとんどない。2008年アジア3位の新庄が巻き返せるか。中村も2月の「ニコラ・ペトロフ国際大会」(ブルガリア)で3位入賞を果たし、国際舞台で通じる実力を身につけつつある。勢いに乗って世界選手権へコマを進めたい。

 2006年全日本王者の沢田直樹(ALSOK綜合警備保障)や世界ジュニア3位の平川臣一(専大)らが優勝戦線に割って入れるか。


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