【全日本選抜選手権優勝選手】フリースタイル55kg級・湯元進一(自衛隊)【2009年6月22日】

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


 フリースタイル55kg級で天皇杯全日本選手権を制した湯元進一(自衛隊)が、決勝で同門の田岡秀規に競り勝ち、2年連続の優勝。世界選手権初出場を決めた。湯元は「ロンドン五輪に向けて世界選手権出場を目標にしていた。これで第一歩が踏み出せたと思う」と満面の笑みを浮かべた。

 順調に勝ち上がった湯元が決勝で迎えたのは、2006年アジア大会銅メダリストの田岡。試合は最終の第3ピリオドにもつれこみ、両者ポイントを奪えぬままクリンチからのリスタートに持ち込まれた。

 ボールピックアップの結果、攻撃権をつかんだのは田岡だった。「一瞬ガックリきたけど、すぐにどうやってクリンチを切ろうか考えた」と湯元。瞬間的に「これしかないと思った」というテクニックで田岡のクリンチから逃れると(右写真)、そのまま一気に場外に押し倒して勝利をもぎ取った。

 昨年の北京五輪は、代表争いに敗れてトライアルにも出場できなかった。悔しさをかみしめるかたわらで、双子の兄・健一(ALSOK綜合警備保障)がフリースタイル60s級に出場して銅メダルを獲得。幼いころからともに歩んだ兄の快挙に、進一のオリンピックにかける思いが、一段と熱くなったことは想像に難くない。

 「自分は55kg級の選手の中で、勝ちたいという気持ちではだれにも負けていないと思う。それが今回の優勝につながったと思う」。初めてとなる世界選手権では、もちろん最初から結果を求めていくつもりだ。

 「課題は、今日の決勝の第3ピリオドもそうだったけど、リスクを恐れずにタックルにいけるかどうか。(世界の強豪選手と)力の差はそれほどないと感じている。金メダルを取れる圏内にいると思います」。まずは世界選手権でメダルを獲得し、五輪銅メダリストの兄と肩を並べるつもりだ。


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