【特集】「ロンドン五輪は狙います」…グレコローマン60kg級・笹本睦(ALSOK綜合警備保障)【2009年6月22日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


 本来の階級に戻したグレコローマン60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)は、決勝で日体大の後輩にあたる松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)に敗れ準優勝の結果だった。2000年シドニー五輪から3大会連続で五輪代表となった笹本が、国内の60s級(以前は58s級)で黒星を喫したのは、1999年全日本選手権決勝で西見健吉(自衛隊)に7−8で敗れて以来のこと。

 北京五輪後は休まず練習を続けていたが、「五輪が100パーセントとすると、今は20くらい」というように、事実上“休養状態”だった。しばらくは66s級で現役を続けるはずだったが、春すぎごろに「2012年のロンドン五輪を目指す」と決意し、本来の60s級にエントリーした。

 だが、「自分が弱くなっていることが分かる。新入生にも力負けすることがある」との言葉通り、1回戦から足が動かず、2回戦の城戸義貴(自衛隊)戦と準決勝の谷岡康幸(自衛隊)はフルピリオドの末にいずれもギリギリで勝ち上がった。

 決勝の相手の松本は“ポスト笹本”として期待されていたホープで2008年国体王者。第1・2ピリオドともスタンドでは勝負がつかず、30秒のグラウンド戦にもつれ、第1ピリオドは松本が、第2ピリオドは笹本が、それぞれローリングで2点を奪って取った。

 第3ピリオドもスタンド戦は0−0。第1・2ピリオドの合計得点が2点ずつと同じのため、ボールピックアップによって第3ピリオドの攻撃権は決められた。レフェリーが示したボールは松本の青。松本こん身のローリングを必死にこらえたが、笹本は思わず足で防御してしまった(左写真)。意外な幕切れに、笹本は「足を使ったつもりはないが…」と苦笑いを浮かべながらマットを降りたが、「今の自分の力で決勝までいけるとは思わなかった」と納得の準優勝だった。

 これで今年は外国選手と試合することなく終わりそう。笹本はシドニー五輪に出場する前にも、1997年には世界ジュニア選手権、1998年にコンコード国際大会(米国)、1999年にアレクサンドリア国際大会(ギリシャ)に出場していたので、13年ぶりに国際大会には出場しないシーズンを迎えることになった。

 だが、「ロンドン五輪は狙いますよ」と、3年後には悲願の五輪メダルを獲得する青写真を描いていた。


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