【特集】男子強化委員長のおひざ元でレスリング教室をスタート…専大ちびっ子教室・木村元彦代表(専大職)【2009年7月30日】

(文・撮影=増渕由気子)



 7月24〜2日に東京・代々木競技場第1体育館で行われた全国少年少女選手権。キッズ・レスリングのブーム到来で、今年も多くのチームが参加した。そのブームに乗って、またひとつ都内にキッズ・レスリング教室が産声を上げた。専大の道場を拠点とする「専大ちびっ子レスリング教室」(仮称)だ。

 今年の春ごろから公募をはじめ、7月11日に第1回教室を開催。近所の子供たちを中心に30人ほど集まった。教室は毎週2回(木・土)行う予定だ。

 代表者は、専大OBで現在は同大学職員の木村元彦さん(旧姓・岩山=右写真の中列右端)。クラブ・チームの長として異例ともいえる27歳の若さ。「現在はちびっ子中心ですが、ボクはどんな方が来ても教えます」と、老若男女受け入れOKの体制で、「レスリングの楽しさを知ってもらいたいですから」と目を輝かせる。

■多くの人に支えられたこれまでのレスリング人生への恩返し

 木村さんは岐阜県出身。羽島市レスリング連盟で芝誠氏に師事し、岐阜工高〜専大でレスリングをやっていた。この間、1996年の沼尻杯全国中学選手権60kg級優勝(左写真)、2003年全日本学生選手権フリースタイル66kg級3位などの実績を持つトップ選手だった。昨年の全日本社会人選手権でも3位に入った。

 目指すは、もちろん日本一。だが、昨年の全日本選手権の出場権を得ながら、けがで欠場したことがレスリング教室を開くきっかけになった。「選手としてずっと自分が強くなることだけを考えてきましたが、社会人5年目で責任ある仕事も任され、帰宅が夜12時を過ぎることもしばしば。練習もできずに、肝心の大会はけがで欠場…。レスリングの時間が減ってしまっていたんです。そこで、後進の指導をしたいと考えるようになりました」。

 選手生活を振り返ると、数え切れないほど多くの人に支えられてきたレスリング人生だった。「全中チャンピオンになって、自分は一流選手で、人間的にも一人前だと思っていたんです。でも、大学で寮生活を始めたら、洗濯機も回せず、炊飯器で米も炊けないほど子供だったんですよね。そこで初めて両親や恩師への感謝の気持ちを抱きました」。

 現役を続けながら後進の指導も始め、今までと違った形でレスリングに関わることで、「やっとお世話になった人たちへの恩返しができる」と話す。

■指導の場がないなら、自分で作っちゃえ!

 都内にキッズクラブのチームは多数あるが、仕事と両立して常任コーチに就くのは時間的に困難。「教える場を探していたんですが、ある日、思いついたんです。『教室を作っちゃえばいいんだ』って」。さっそく大学と交渉し、わずか半年でクラブチームの開設にこぎつけた(右写真)

 このクラブの最大の魅力は常設のマットがあること。さらに、日本協会の佐藤満男子強化委員長(専大教)のおひざ元であり、金メダリストに師事した木村さんをはじめ、多くのトップ選手から直接指導が受けられるということだ。かかる費用はスポーツ保険のみで、施設料や指導料金は一切なしというのが売り。

 16日に行われた第2回の教室は、第1回に参加した子供たちのほとんどがお泊り保育のために欠席したが、佐藤強化委員長の妻・美和さんと息子の宇(ひろ)君が参加。美和さんは「最初はレスリングのつりパン(シングレット)を着たくなかったようで…」と、宇君が当初は乗り気ではなかったことを笑いながら話した。

 しかしプロレスラーのような大学生のお兄さんと楽しくマット運動できたことがよほど楽しかったようで、練習後もお兄さん選手に“スパーリング”を申し込むほど夢中になっていた(左写真)

 宇君が所属するサッカー・チームの友達も誘われて参加。木村さんは「レスリングをすることで基礎体力が上がる。他のスポーツにも効果があります。他のスポーツをやっている子どもたちは、自分のペースで教室に通ってください」と説く。

 さかのぼること1か月前(6月)、キッズ指導の下見として全国中学生選手権が行われた水戸まで駆け付けた。全国少年少女選手権には「父母の方たちを連れて行きました。ウチのチームも大会に出られるように頑張ります」と気合十分だった。

※教室のお問合せは、080−3467−2980(木村)までお願いします。


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