2012年ロンドン五輪の女子実施階級は4階級…男子を減らせない! FILAが無念の決断【2009年9月21日】



 【ヘルニング(デンマーク)、樋口郁夫】国際レスリング連盟(FILA)は9月20日、当地で行われる世界選手権の会場内でエグゼクティブ・ミーティング(幹部会)を開催し、2012年ロンドン五輪の女子の実施階級を、2004年アテネ五輪、2008年北京五輪と同じ4階級にせざるをえないことを確認した。国際オリンピック委員会(IOC)との交渉は続けるが、現状では4階級実施となり、今夏から期待された女子の7階級実施は絶望的になった。

 FILAは女子が五輪種目に実施されて以来、女子の実施階級を7階級にするようIOCに求めてきた。今年8月のIOC理事会後、全体の選手数(344選手)を変えない限り、女子の階級を増やしても構わないとの通達があり、それに従って男子の1階級あたりの選手数を減らし、女子を7階級にする準備をしてきた。

 しかし、IOCからの通達は、具体的な階級数にはふれていないものの、全体の階級数は変更しない前提のもとでの通達だったことが分かった。女子を3階級増やすなら男子を3階級削り、女子を2階級増やすなら男子を2階級削るなどしなければならない。FILAは「男子を各6階級にまで減らすことは絶対にできない」とし、引き続き「3スタイルとも7階級実施」を求めていくことを決めたが、現状ではロンドン五輪でのレスリングの実施階級は、過去2回の五輪と同じく男子両スタイルが各7階級、女子が4階級となった。

 日本協会の福田富昭会長は「1996年まで各10階級あった男子を、計6階級も減らしたのは、女子を入れるためであり、FILAは男女同数の21階級実施を強硬に要求した。しかし、当時のIOCアントニオ・サマランチ会長とFILAミラン・エルセガン会長との間には口約束しかなく、きちんとした文書が残っておらず、IOCから(その交換条件は)相手にされなかった。男子を6階級にすることは、どの国も反対。ロンドン五輪は現状と同じにせざるをえなかった」と無念の表情で話した。

 女子の栄和人強化委員長(中京女大教)は「ちょっとがっかりしたが、すべて失ったわけではないので、裏切られたといった気持ちはない。FILAがIOCに対して女子を7階級にするための努力をしてくれたことを感謝したい。4階級に集中し、全階級で金メダルを取れるよう全力を尽くしたい」と話した。

 7階級実施が決まれば現役復帰もほのめかしていた坂本日登美コーチ(自衛隊)は「ちょっと夢を見させてもらった。ロンドン五輪で姉妹で金メダルを取れればいいなと思っていたけど、真喜子(48kg級)を五輪チャンピオンにしようという気持ちがある限り、ロンドン五輪を目指す気持ちに変わりはない。真喜子の指導に全力を尽くしたい」と、時おり笑顔を見せながら、妹の指導に全情熱を傾けることを誓った。

 ※参考ページ → 
「実現するか? 2012年ロンドン五輪での女子7階級実施…FILAの動きが活発化」


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