米満達弘(自衛隊)が銅メダルを獲得…世界選手権第1日【2009年9月22日】



 【ヘルニング(デンマーク)樋口郁夫、撮影=矢吹建夫】2009年世界選手権は9月21日、デンマーク・ヘルニングで開幕。男子フリースタイル3階級が行われ、66kg級の米満達弘(自衛隊)が3位決定戦で北京五輪3位のスシ・クマール(インド)を2−0(1-0,4-0)破り、銅メダルを獲得した(写真は表彰式と3位決定戦の米満)。男子フリースタイルの世界選手権でメダルを取ったのは2006年大会の高塚紀行(60kg級)以来で、66kg級は2003年の池松和彦以来。

 米満は初戦の2回戦で欧州3位のジラィール・ホブハンニシャン(アルメニア)に勝ったものの、痛めていた左肩を伸ばした様子。3回戦で欧州5位のゲルゴ・ウォーラー(ハンガリー)を撃破したが、4回戦で欧州3位のラスル・ジュカエフ(ロシア)に敗れた。しかし敗者復活戦へ回り、60kg級でアテネ五輪、66kg級で北京五輪に出場した鄭栄鎬(ユン・ヨンホ=韓国)を2−0で下して3位決定戦進出を決めた。

 55kg級の湯元進一(自衛隊)は初戦で2008年パンアメリカン選手権3位のジョン・ピネダ(カナダ)を2−0で撃破したが、2回戦で北京五輪7位のリズバン・ガジエフ(ベラルーシ)では、第1ピリオドに納得のいかない判定を受け、流れを変えられて0−2で敗れた。ガジエフが準決勝で敗れ、敗者復活戦へは回れなかった。

 96kg級の磯川孝生(徳山大職)は、1回戦でディエゴ・ロドリゲス(ブラジル)に快勝したものの、2回戦で全米学生(NCAA)王者のジェイク・バーナー(米国)に0−2で敗れた。バーナーが次の試合で敗れたため、敗者復活戦には回れなかった。

 96kg級はモンゴルの選手の到着が遅れて計量時間に間に合わず、代理の選手が抽選して30選手によって組み合わせが決まった。しかし、モンゴル選手が来なかったため、29選手で組み合わせを作り直し、磯川の初戦の対戦相手が米国からブラジルに変更された。

 各選手の成績は下記の通り。


 ◎男子フリースタイル

 【55kg級】湯元進一(自衛隊)     13位=32選手出場

1回戦 ○[2−0(1-0,1-0)]John Pineda(カナダ)

 《試合経過》第1ピリオドの1分すぎ、湯元が相手を崩してバックに回って1点を先取。そのまま、このピリオドを取った。第2ピリオド、両者とも決定力を欠いてポイントを取れなかったが、1分50秒、湯元がタックル。いったんはかわされたが、そのまま場外に押し出して貴重な1点を獲得し、1−0で勝った。

2回戦 ●[0−2(2-3,1-3)]Rizvan Gadzhiev(ベラルーシ)

 《試合経過》第1ピリオドの1分20秒、湯元が相手の左脚へのタックル。両手両足をマットについてこらえられたが、場外へ出すようにしてテークダンを奪い1点を獲得。1分30秒、湯元が再び相手の左脚へタックルに入る。途中、ややバランスを崩して体が一回転しながらも、場外際に追い込みテークダウンを奪った。スコアボードは2−0となって試合終了。ベラルーシはチャレンジ(ビデオチェック要求)。しかし、これが受け入れられる前に、審判団はベラルーシに2点を加えた。湯元の体が一回転した時に肩がマットに向いたという判断らしい。今度は日本陣営がチャレンジ。しかし判定は覆らず、相手に1点が入った。

 この納得のいかない判定で、湯元が攻勢をとっていた流れが狂った。第2ピリオド、53秒にタックルを決められ、ガッツレンチで回されて0−3。終了10秒前にバックを取って1点を返したが、追いつくには残り時間が足りなかった。

【1回戦1P】湯元が相手の背後に回り込み先制の1点を獲得。 【1回戦2P】湯元は開始から積極的に攻め、このピリオドも取った。 【2回戦1P】相手の左脚を取った湯元は粘る相手を押さえて1点を先制。 【2回戦1P】再び左脚を取った湯元。バランスを崩し、不可解な2失点。

※敗者復活戦へ回れず。


 【66kg級】米満達弘(自衛隊)      3位=34選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[(2-0,2-0)]Zhirair Hovhannisyan(アルメニア)

 《試合経過》第1ピリオド、お互いにポイントが取れなかったが、1分30秒ころ、米満が相手の右脚へタックル。タックル返しを必死にこらえて相手の背中をマットに向けて2点。2−0でlこのピリオドを先制。第2ピリオドは36秒に米満が片足タックルから両足タックルにつなげて1点を先取。終了間際、相手はがぶってがぶり返しを仕掛けたが、米満がかわしてバックを取り、2−0として勝った。

3回戦 ○[2−0(1-0,2-0)]Gergo Woller(ハンガリー)

 《試合経過》第1ピリオド、一進一退のあと、米満が相手の右脚へのタックルからバックを取り1点を先制。1−0でこのピリオドを取った。第2ピリオドは1分すぎに正面タックルから右足への片足タックルに移行して1点を獲得。ブレークの後、右足への片足タックルで1点を加え、2−0として勝った。

【2回戦1P】1分30秒、米満が片足タックルで先制。 【2回戦2P】米満は片足タックルから両足タックルに移行して1点を先取。 【3回戦2P】1分すぎ、米満は正面タックルから片足に移行して1点。 【3回戦2P】終盤にも片足タックルで1点を取って勝負を決めた。

4回戦 ●[0−2(0-1=2:04,1-3)]Rasul Djukaev(ロシア)

 《試合経過》第1ピリオドの1分30秒、米満は左足へのタックルで攻めて惜しいところまでいったが無得点。0−0で終了し、ボールピックアップで敗れてテークダウンを奪われた。第2ピリオド、米満が34秒に豪快な正面タックルを決めたが、相手のうまい身のこなしで1点どまり。1分20秒、米満はバックを取られて1点を失い、ガッツレンチで2点を加えられて1−3と逆転された。

敗者復活戦 ○[2−0(3-0,2-0)]Jung Young-Ho(鄭栄鎬=韓国)

 《試合経過》第1ピリオドの24秒、米満は相手の右脚へタックル。両脚タックルへ持ちかえ、うまくニアフォールを奪って2点。相手のアンクルピックをこらえてポイントをやらなかった米満は、1分50秒、相手の小外刈りをこらえて自らのポイントにつなげ3−0とした。

 第2ピリオドも米満が36秒に片足タックルで1点を先制。1分30秒すぎ、正面タックルから場外に押し出して1点。ここで韓国からチャレンジ(ビデオチェック要求)が入り、チェックの結果、グラウンド状態での場外と判断されスコアは1−0のまま。韓国は終了間際に猛反撃。米満は防戦一方で、ジャッジは米満のコーション(警告)をとったが、正式な判定となる前に米満が回り込んでバックを取り、1点を挙げた。

【4回戦2P】34秒、米満が豪快にタックルを決めたが、惜しくも1点。 【4回戦2P】1−1とされた米満は、ガッツレンチで痛恨の2失点。 【敗復戦1P】序盤に片足タックルに入った米満が1点を先取。 【敗復戦2P】第2ピリオドも片足タックルを決め、試合を有利に運んだ米満。

3位決定戦 ○[2−0(1-0,4-0)]Sushi Kumar(インド)

 《試合経過》第1ピリオドの1分すぎ、米満が右脚を取られるが、うまい身のこなしで逆にバックを取って1点を奪取。そのままのスコアでこのピリオドを取った。第2ピリオドは開始から米満が攻め、相手の右脚を取ってテークダウン。レッグホールドで1点を加える。さらに右足への片足タックル。38秒で3−0としたあと、1分17秒にも片足タックルで4−0。余裕をもって終盤の相手の反撃をしのぎ、試合を決めた。

【3決戦1P】1分20秒すぎ、米満が1点を獲得。これで硬さが取れた。 【3決戦2P】開始早々に片足タックルで1点獲得。波に乗って一気に攻めた。 【3決戦2P】1分17秒の時点で4−0。銅メダルを目前にした。 【3決戦2P】勝った瞬間、左肩の痛みも忘れて応援席へ向かってガッツポーズ。

【3決戦2P】落ち着くと左肩に痛み? 左の肩が上がらないが、喜びいっぱい。 【表彰式】イラン、ロシアに続き、カザフスタンとともに表彰台。標的がはっきりした。

 【96kg級】磯川孝生(徳山大職)     14位=29選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0,1-0)]Diego Rodrigues(ブラジル)

 《試合経過》第1ピリオド、開始早々に磯川が正面タックルで場外に押し出し、1点を先制。1分19秒、相手の右からくっついて場外に出して1点を加え2−0。第2ピリオドは1分10秒、磯川ががぶって引きずり落とし、バックに回って1点。そのままのスコアで終了。

2回戦 ●[0−2(0-1,0-1)]Jake Varner(米国)

 《試合経過》第1ピリオド、0−0で試合が進み、1分40秒、もつれて磯川が離れた瞬間に右の足首に入られ、こらえたがバックをとられて1失点。第2ピリオドは1分30秒、もつれて磯川がバックを取られ、0−1で敗れた。

【1回戦1P】開始早々にタックルで1点を先制した磯川。 【1回戦2P】1点を取ったあと、アンクルホールドを狙ったが、これは失敗。 【2回戦1P】0−0で進んだが、一瞬のすきをつかれて磯川が痛恨の1失点。 【2回戦P】勝利を目指して攻めた磯川だが、決定力に欠けた。

※敗者復活戦へ回れず。


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