【特集】「やってきた練習は正しい方向だった」…男子フリースタイル96kg級・磯川孝生(徳山大職)【2009年9月21日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



 日本チームの先陣を切ってマットに上がった96kg級の磯川孝生(徳山大職)は、初戦のディエゴ・ロドリゲス(ブラジル)戦で開始すぐに正面タックルを決める積極さで闘いをスタート。強固な守りで相手の攻撃を許さず、2−0(2-0,1-0)で勝って幸先いい世界デビュー戦となった。

 しかし、2回戦で米国学生選手のジェイク・バーナーにポイントを取ることができず、第1・2ピリオドとも0−1のスコアで黒星。ボロ負けしたわけではないが、「勝てなきゃダメ。一生懸命に闘ったが、相手の方が上だった」と、相手の実力を認めた(右写真)

 1回戦は快勝と言える結果と内容だった。「世界の闘いは厳しいと思っていて、1試合でも勝てればいいと思っていた。1回勝ててよかった。内容もよかった」と振り返った。小平清貴コーチ(警視庁)とやってきた練習の成果を出すことができ、「練習が正しい方向だったことを確認できた」とも言う。2回戦は相手の圧力に負けたという。やはりパワーの重要性を感じたようで、「今は劣っていても、ロンドン五輪までには追いつきたい。追いつく」ときっぱり。

 小平コーチは「パワーが足りず、わずかの差だった」と総括。米国戦は組み合いすぎたそうで、パワーのある相手との闘い方に「もうひと工夫ほしかった」と注文。こうしたことは、すべて実戦経験を通じて学んでいくもの。「世界の闘いを数多く経験する中から実力をつけてほしい」と続けた。「基本的な体力をしっかりつけさせたい。オリンピックに行けるかどうかの瀬戸際のラインにはいる。ここを乗り切れば、オリンピック出場が見えてくる」と結んだ。

 また、佐藤満強化委員長は、これまで重量級にありがちだった何もしないまま試合が終わったわけではないことを認め、「少しの努力で壁を破れる」と、健闘を評価した。


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