前田翔吾(日体大)は3位決定戦で敗れ5位…世界選手権第2日【2009年9月23日】



 【ヘルニング(デンマーク)樋口郁夫、撮影=矢吹建夫】2009年世界選手権第2日は9月22日、デンマーク・ヘルニングで男子フリースタイル3階級が行われ、60kg級の前田翔吾(日体大)が3位決定戦へ進み、55kg級で2003・05年に世界王者に輝いているディルショド・マンスロフ(ウズベキスタン)に1−2(1-0=2:02、2-4、0-1=2:04)で惜敗。5位に終わった(右写真=マンスロフに挑んだ前田)

 前田は1回戦で2008年アジア・ジュニア2位のハーディープ・シン(インド)に2−1で勝ち、2回戦でベネズエラ選手を破ったが、3回戦で北京五輪5位・今年の欧州王者のザリムカン・フセイノフ(アゼルバイジャン)に0−2で敗れた。フセイノフが決勝に進んだことで敗者復活戦にまわり、アーチュー・アルケリャン(アルメニア)を2−1で破って3位決定戦へ進んだ。

 84kg級の松本真也(警視庁)は、1回戦で欧州3位のヤバサール・ゴカン(トルコ)に0−2で敗れ、ゴカンが決勝まで残らなかったため敗者復活戦に回れなかった。120kg級の荒木田進謙(専大)も1回戦で欧州3位のカラ・レセプ(トルコ)に敗れ、同じく敗者復活戦へ回れなかった。

 各選手の成績は下記の通り。


 ◎男子フリースタイル

 【60kg級】前田翔吾(日体大)      5位=32選手出場

1回戦 ○[2−1(2-0,2-4,TF6-0=0:41)]Hardeep Singh(インド)

 《試合経過》第1ピリオド1分30秒すきまで0−0。ここで前田が片足を取って相手の脇の下をくぐるようなタックルを決めて1点。終了間際にもテークダウンで1点を追加。第2ピリオドは20秒に前田がタックルで1点を先制したが、中盤に右足へのタックルを決められ、背中をマットに向けてしまって1−2。すぐに脚を取って体勢を入れ替え2−2。1分30秒、相手のタックルをステップバックしてかわそうとした前田は、滑ったようになった1失点。終了間際にさらに1点を失った。

 第3ピリオドは開始10秒に前田が片足タックルで1点。相手のタックルを回り込んで1点を加え、うまくニアフォールを奪って4−0。ガッツレンチを決めて6−0でテクニカルフォール勝ち。

2回戦 ○[2−0(1-0,1-0=2:03)]Roberth Cesar(ベネズエラ)

 《試合経過》第1ピリオドは0−0で試合が進み、クリンチ勝負かと思われた頃、前田が相手を崩して右脚を取り、場外へ出して1分57秒で貴重な1点を獲得。第2ピリオドは0−0のまま2分間を終了。ボールピックアップで負けて防御をしいられた前田だが、相手のバランスを崩し、バックを取って逆転の1点を取った。

【1回戦1P】前田は2−0としたあと、ラスト20秒にもタックルを決めた。 【1回戦3P】前田は片足タックルを執拗に仕掛けて1点を先制。 【2回戦1P】前田は相手の右脚へタックルにいき、場外へ押し出した。 【2回戦2P】クリンチの防御となった前田は、うまい身のこなしでポイントを取った。

3回戦 ●[0−2(4-7,1-4)]Zalimkhan Huseynov(アゼルバイジャン)

 《試合経過》第1ピリオド、前田は17秒で左脚を取りテークダウンを取って1点。54秒にも1点を加え、相手は左ひざを痛めてインジュリー・タイム。再開後、前田が相手をがぶったあと、グラウンドに持ち込まれて両者の体が2回転。当初は両者2点が2度と判定されたが、相手陣営のチャレンジ(ビデオチェック要求)により、最初が相手の2点のみ、2度目が両者2点と判定されて4−4。1分36秒、タックルにいったが、うまくかわされて1点を失い、ガッツレンチを受けてしまって4−7とされた。

 第2ピリオドの24秒、前田が相手を落として24秒に1点を先制。その後、2度のチャンスをものにできず中盤へ。1分13秒、前田がタックルの相打ちに負けてバックを取られ、肩と脇の下をうまく固められてニアフォールを奪われ、5秒ルールも加わって1−4。フォールは逃れたものの、反撃するには時間が足りなかった。

【3回戦1P】4−4となったあと、1点をめぐっての必死の攻防 【3回戦2P】1−0とリードしたあとの前田の片足タックル。相手は“顔面クロー”で防御。

敗者復活戦 ○[2−1(1-4,6-5,B3-3)]Artur Alkelyan(アルメニア)

 《試合経過》第1ピリオド、42秒に正面タックルで1点を失った前田。中盤に左脚を取ってタックルを仕掛けたが、タックル返しで3失点。すぐにバックを取ってスコアは1−4へ。このあと、前田が正面タックルで攻めたところを再びタックル返し。当初は相手の3点だったが、日本陣営のチャレンジの結果、グラウンド状態での場外とみなされて、ともに0点。1−4でアルメニアがこのピリオドを取った。

 第2ピリオド、43秒に前田がタックルに入り場外に出して1点。1分20秒に正面タックル。これを返され、前田に3点、相手に2点。1分36秒にも前田が正面タックル。当初は前田の3点だったが、相手陣営のチャレンジで、相手のタックル返しに3点、その後の前田の抑え込みに2点となり、前田が6−5でこのピリオドを返した。

 第3ピリオドは前田が51秒にタックル。相手ががぶり返しのような形で場外へ出し、当初は両者0点だったが、相手陣営のチャレンジで前田が場外に出されたと判定され1失点。中盤に前田が正面タックル。これも返されて両者2点で、スコアは2−3。前田が1分44秒、タックルに入り、粘る相手の脇の下をくぐって1点を獲得。3−3のラストポイントで、計3度のチャレンジが行われた激戦を制した。

【敗復戦1P】0−1のあとの前田の片足タックル。しかしタックル返しで3失点。 【敗復戦2P】タックルとタックル返し。タックル返しに3点、直後の前田の抑え込みに2点。 【敗復戦3P】ラスト16秒、前田が粘りに粘って値千金の1点を挙げた。

3位決定戦 ●[1−2(1-0=2:02,2-4,0-1=2:04)]Dilshod Mansurov(ウズベキスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、お互いに決め手がなく2分間を0−0。クリンチ権を得た前田がしっかりとテークダウンを決めた。第2ピリオドは46秒に前田が右足を取られ、粘ったが1失点。中盤にも同じようにして1点を失い、アンクルホールドにかかってしまって0−4。1分50秒すぎにタックルを決め、ローリングで1点を加えたが、ここで終了のブザー。

 第3ピリオドは0−0で2分間を終了。前田はクリンチの防御となり、守り切れなかった。

【3決戦1P】かつて田南部力、松永共広が挑んだウズベクの強豪と相対した前田。 【3決戦2P】0−4とされた前田は必死のタックルを決めて1点を獲得。 【3決戦2P】続いてガッツレンチを決めたが、2−4と追い上げただけにとどまる。 【3決戦3P】1点をめぐって激しい攻防。最後はクリンチで決着がついた。

 【84kg級】松本真也(警視庁)     32位=37選手出場

1回戦 ●[0−2(0-1,0-1)]Yavaser Gokhan(トルコ)

 《試合経過》第1ピリオド開始19秒、引き落とされた松本が1点を失った。この最小得点を必死に追い、中盤にはタックルをつぶして相手の体を伸ばしたがブレーク。追いつかなかった。第2ピリオドは1分20秒、回り込まれて1点を失い、同じく0−1で敗れた。

【1回戦1P】序盤に取られた1点を追った松本だが、追いつくことができなかった。 【1回戦2P】何とか突破口を探す松本だが、最後までポイントは取れなかった。

※敗者復活戦へ回れず


 【120kg級】荒木田進謙(専大)     26位=27選手出場

1回戦 ●[0−2(TF0-7=0:59,0-4)]Kara Recep(トルコ)

 《試合経過》第1ピリオドの30秒、荒木田は右足を取られてタックルを許した。その後、ガッツレンチを3回転受けてしまい、0−7でテクニカルフォール。第2ピリオドは開始直後に片足タックルを受けて1失点。さらに正面タックルを受けたが、こらえて場外際でタックル返し。相手の体が返ったように見えたが、レフェリーの判定は相手のタックル・ポイントを取って1点。日本陣営はチャレンジ(ビデオチェック要求)したが認められず、相手に1点が入った。

【1回戦1P】バックを取られた荒木田はガッツレンチ3回転で7点差をつけられた。 【1回戦2P】相手を落として攻撃を狙う荒木田だが、ポイントにつながらなかった。

※敗者復活戦へ回れず


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