【特集】先制の2ポイントも空しく初戦敗退…女子59kg級・山名慧(アイシン・エイダブリュ)【2009年9月24日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



 現役世界チャンピオンの正田絢子を破って世界選手権に初出場した山名慧(アイシン・エイダブリュ)は、1回戦で“疑惑のロシア代表”のオルガ・キオソバ(昨年はカザフスタンで北京五輪出場=国際レスリング連盟の国籍変更規定からすればロシアからは出場できない)に0−2で敗れ、敗者復活戦に回ることなく大会を終えた。

 試合前、「世界チャンピオンを破ってここに来たのですから、自信を持って闘いたい」と話していた。その言葉通り、第1ピリオドは先に仕掛けて正面タックルで2点を取る幸先いいスタートだった(右写真)。しかし、後の対処がまずくて2−2へ。レッグホールドで体を返され。2−4とリードされると、歯車が狂ってしまった。

 第2ピリオドは、相手の攻撃を許さなかった代わりに攻撃もできずに0−0。ボールピックアップの結果、クリンチの防御となり、テークダウンを許してしまった。第1ピリオドを落としていたことを考えれば、もっと積極的な攻撃がほしかった第2ピリオドだ。

 敗者復活戦の望みが消えると、山名はがっくりで言葉が出ない。中京女大時代とアイシン・エイダブリュでの先輩の51kg級の甲斐友梨選手は「今は何も話せませんよ。私も経験あります。1人だけメダルがないとかは、とても辛いんです。時間がたっても、悔しさがこみあげてくるので…」と。この日の“取材自粛”をお願い。

 代わって栄和人監督が「(最初のタックルは)最後の詰めが甘かった。世界は強い選手ばかり。中途半端ではポイントが取れない」と説明。「リードすると守りに入ることが多い。常に攻撃しなければならないことが分かったと思う。力はあるのだから、もっと自信を持って攻撃にいってほしかった」と話した。

 また、ホテルで山名と同室の吉田沙保里選手は自らの金メダル獲得後、「とても緊張し、口数も少なかった」と山名の前夜の様子を証言。「慣れなんです。慣れることが大事。緊張を自信に変えることも実力。ふだんの練習から、緊張状態をつくってやることが大事」と話し、今年の経験を来年以降につなげてくれることを期待。甲斐選手が屈辱をばねに世界選手権の銅メダルを獲得したように、これからが勝負だ。


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