【特集】63kg級に照準を定めた山本聖子(クレイジービー)が国内復帰戦で優勝【2009年10月12日】

(文・撮影=三次敏之)



 10月11日に静岡・稲取高体育館で行われた第4回全日本女子オープン選手権最終日のシニア63kg級に、結婚〜出産を経て今年現役復帰を果たした世界選手権4度優勝の山本聖子(クレイジービー)が出場。約3年3ヶ月ぶりの国内復帰戦で優勝し、12月に行われる天皇杯全日本選手権の出場を決めた(左・右下写真=決勝戦で闘う山本)

 山本は2012年ロンドン五輪出場を目指して復帰したもの、4月の全日本女子選手権7月の全日本社会人選手権などに出場していないことから、現在までに全日本選手権への出場権を持っておらず、この大会で優勝しなければ出場の権利を得ることができない。全日本選手権出場に照準を絞り、この大会に出場してきた。

 復帰戦は今年8月の「ポーランド・オープン」だった。この大会では、かつて自身が世界チャンピオンになった階級でもある59s級に出場して優勝を果たしたが、今大会は63s級でエントリーしてきた。このことに関して山本は「今年というか、世界選手権を考えると1シーズンということになるのでしょうが、この階級でチャレンジしていこうと思います」と話し、63s級で来年の世界選手権、さらにはロンドン五輪出場を目指していくことを決心したようだ。

 そんな山本だが、自身が「心ここにあらずという感じでした」と振り返ったように、初戦となった高橋海里奈(早大)戦は第1ピリオドを2−3で落としてしまい、決して絶好調をアピールできる内容ではなかった。それでも第2ピリオドにフォール勝ちして決勝へ駒を進めた。

 決勝戦の相手は今年のアジア・ジュニア・チャンピオンの立光詩織(王子自動車学校)。伸び盛りの立光の片足タックルで1ポイント先制されたものの、グラウンドでバックに回って同点にすると、ニアフォールへ。3−1で第1ピリオドを制した。第2ピリオドもバックに回って1ポイント。ニアフォールで2ポイントを加え、胴タックルからのテークダウンで1ポイント加えて4−0で制し、優勝を飾った。


 山本聖子選手の話「「今の時点では、もっと練習しなければいけないと反省しています。初戦は最悪の内容だったのですが、決勝戦まで時間があったので、周囲の人たちと相談して気持ちを切り替えることができました。子供のことが気になって試合に集中できないかとも思ったのですが、それはなかったです。63s級はみんなパワーありますね。これからパワーをつけていかないといけません」

 兄でプロ格闘家の山本“KID”徳郁選手の話「動きが硬いところがあった。普段はオレのジム(クレイジービー)に毎日来ていて、レスリングの練習にはつき合ってないけど、フィジカルの練習とかはつき合っているから、コンディションの良さは分かってる。今日の聖子は全然ダメだった。でも優勝できたからスゴイよね。決勝戦の前は準決勝とは違って、落ち着いてたからね。子供産んでからさらにパワーついたんじゃないかな。63s級に上げたことについては、オレの(今の)階級と同じじゃんって感じ。この前、聖子と二人で柔術の練習やったら、道着で絞められてタップしたくないから殴って逃れたくらい。聖子はレスリングも柔術も強い!」

(注)8月の「ポーランド・オープン」は、パスポート名の「セイコ・ナガシマ」での出場であり、「永島聖子(旧姓山本)」と表記しましたが、今大会は「山本聖子」での出場でしたので、「山本聖子」と表記します。


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