【特集】冷や汗ものながら学生二冠王へ…74kg級・高谷惣亮(拓大)【2009年11月15日】

(文・撮影=樋口郁夫)



 74kg級は下馬評どおり昨年優勝の高谷惣亮(拓大)が勝ち、全日本学生選手権とともに学生二冠王に輝いた。しかし、決勝の江藤公用(専大)戦は第1ピリオドを1−8のテクニカルフォールで落とし、第3ピリオドも終盤まで0−0という冷や汗ものの勝利。「疲れました」と苦笑いの優勝だった(右写真:カウンターのうまい江藤に苦戦をしいられた高谷=赤)

 江藤から8ポイントも取られたのは、いずれもタックルへ行って横に返されたもの。競り合った時は絶対に負けない自信があるそうだが、肩が返ったかどうか分からないような展開になった時は「けっこうテクられるんですよ。JOC杯でもありましたし」と言う。

 「苦手というより、嫌いなタイプ」とのことで、「対処方法は分かるのですが…」。出会い頭の交通事故のような思わぬ展開になってしまい、自分のペースに持ち込めなかったようだが、第2・3ピリオドで盛り返したのは地力がある証拠だろう。

■全日本王者になるためには、“見えない壁”を越えなければならない!

 準決勝までの3試合は2−0の連続で勝ち上がり、会心の勝利だった。しかし、前夜はよく眠れなかったそうで、「その影響なのか、決勝で一気に疲れが出てしまったみたいだ」と振り返る。眠れなかった原因は、枕が違ったことや室温が合わなかったことなどが考えられるようだが、本当の原因は不明。遠征試合ならではの落とし穴。初めての経験だそうで、今後、海外で試合をすることも多くなるであろうから、これらも含めて克服しなければならないことだ(左写真=最後はきっちり勝った高谷)

 だが、こうした状況下でも学生二冠王に輝いたことで、ワンランクアップしたことは確か。「次は全日本の一番上に名前が呼ばれたい」と言う。技術、体力では日本のどの選手よりも上だという自負があるが、「(上の選手に)勝ち切れない何かがある。それが何か分からない」と話し、本番で勝つことの難しさを口にする。

 その壁とは、キャリアなのか、名前・肩書きなのか…。何であっても、その壁を見つけて乗り越えない限り、全日本チャンピオンの座にたどりつくことはできない。「今度の全日本選手権では、絶対に壁を破りたい」と話し、全日本初制覇へ燃えていた。


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