【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン96kg級・北村克哉(FEG)【2009年12月22日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



 2007年に世界5位になっている加藤賢三の踏ん張りを受け継ぐべく男子グレコローマン96kg級は、世界選手権代表の北村克哉(FEG)が3試合を無失点で優勝。頭ひとつ抜け出ている実力を見せた。

 山本雄資(警視庁)との決勝も、第1ピリオドは5−0と差がつき、第2ピリオドも危なげない快勝。内容も満足いく大会だったと思われるが、「点差はあっても、そんな実力差はない。国内で勝つだけの井の中の蛙(かわず)ではダメ」と、優勝の喜びより、まだ物足りないといった姿勢を見せた。それでも「家族、友人、知人、(練習している)専大や国士舘大の選手・コーチの方々など、多くの人のサポートに感謝したい」と話し、優勝の感激を表現した。

 2009年はグレコローマンで初の世界選手権に出場する一方、初戦で敗れ、世界の壁の厚さを体で知った年でもあった。「とにかくポイントが取れなかった」という反省。パワーアップなどでその課題に挑み、「やってきたことが少しはできました」と振り返る。

 一番大きな変化は、規則正しい日常生活ができるようになり、風邪をひいたり、けがそしたりすることがなくなったこと。これまでは寝つきが悪くて睡眠不足になり、そのせいか風邪をひいたり、古傷が痛んだりしてコンディションつくりとの闘いがあったという。

 物ごとを深刻に考える性格のようで、考え事があるとなかなか寝られなかったそうだ。今は「試合を楽しもうと思いまして」と口にするように、リラックスの効用を覚えた様子。これも世界での闘いを経験した成果か。

 2010年はアジア大会(11月・中国)での“重量級派遣カット”という敵と闘わねばならない。「アジア大会の期間中、さびしい思いはしたくない。これからもしっかりトレーニングしていきたい」と、来年の闘いを見据えて気持ちを引き締めた。


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