【全日本選手権優勝選手】男子フリースタイル96kg級・磯川孝生(徳山大職)【2009年12月22日】

(文=山内毅、撮影=矢吹建夫)



 男子フリースタイル96s級決勝は6月の全日本選抜選手権決勝の再現へ。磯川孝生(徳山大学職)と坂本憲蔵(自衛隊)が勝ち上がり、6月の対戦を制した磯川が今回も制した。「国内に敵なし」 をアピールした磯川だが、「ひどい内容でした。練習して出直します」と、試合後に笑顔はまったく見せることはなかった。

 1年前のこの大会は、腕試し的に挑んできた北京五輪グレコローマン84kg級代表の松本慎吾に敗れて涙をのんだ。96s級で自分が通用するのか、しないのかも、昨年の敗北で悩んだことは間違いない。それでも磯川は自分を信じ、サポートしてくれる周囲の人たちに報いるためにも、96s級で世界に通用することを証明してみせることを心に決めた。

 磯川をサポートしてくれる人たちとは、今年から職員兼コーチとして勤務している徳山大の職員たち。「コーチと選手の両立は決して難しくないですが、周囲の方々も自分が練習しやすい環境を整えてくださっていますから」という応援で、ポイントを取れる技を磨いてきた。自分の足りないところは補って余りあるほど練習してきたのだが、今大会でまったく出せることなく終わってしまったことを悔いて、優勝コメントも威勢の良いコメントを出せなかったのだ。

 「今日のことは今日中に反省して、明日から気持ちを切り替えて練習します」という磯川。だが、3試合で失点1というディフェンスの高さは見事といっていいだろう。決勝こそ、差し手争いから両者とも攻め切れず、2ピリオドともボールピックアップまでもつれ込んだ試合となったが、粘り強さとディフェンスは世界に向けて自信を持っていいはずだ。

 2009年は世界選手権代表にもなった。次なる目標はもちろんオリンピック。あと2年半あまりあれば、磯川は高いディフェンス力だけでなく、攻めて攻めてポイントを取りまくることも可能となるはずだ。まずは、2010年の世界の桧舞台で本領を発揮する姿だ−。


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