【特集】クリンチでの迷いが命取りとなった西牧未央(中京女大)【2009年12月24日】

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)



 2年連続で世界選手権の女子63s級を制した西牧未央(中京女大)は、本格復帰した2004年アテネ&2008年北京両五輪金メダリストの伊調馨(ALSOK綜合警備保障)に黒星。試合後も涙が止まらなかった。

 「今日は試合をするのが本当に楽しみだった」という西牧は、序盤から積極的な攻撃を仕掛けようと試みた。しかし、伊調の巧みなディフェンスがそれをさせない。「ああいう展開は予想していた」と本人は振り返るが、もどかしい展開だったことは間違いなかった。

 悔やまれるのは第2ピリオドの最終局面だろう。両者無得点で、ボールピックアップにより、西牧が攻撃権を得たクリンチの場面である(右写真)。クリンチの際、伊調のディフェンスがうまいことを知っていた西牧は、ここで「どちらの腕(組み手?)でクリンチを取ろうか迷った」。この迷いが微妙な狂いを生じさせたのだろう。結局、伊調に守り切られてしまい、絶好のチャンスは最悪の結末に変わってしまった。

 世界選手権で63kg級を制し、いよいよ“馨超え”を実現させようとしていた矢先だっただけに、この日の敗戦は大きなショック。それでも西牧は「今日は自分の準備不足。来年の全日本選抜選手権まで必死で練習します」と最後に涙をぬぐった。


iモード=前ページへ戻る
ニュース一覧へ戻る トップページへ戻る