【世界選手権特集】世界選手権のマットに立てる喜びをかみしめて…59kg級・正田絢子

sakamoto hitomi

 坂本と同じく世界選手権に4年連続で出場する59kg級の正田絢子(網野ク)。負傷・手術から復帰して2005年に世界一に返り咲き、2006年に2年連続優勝を達成した点も同じだ。違う点は、昨年世界一を逃していること。「心のどこかに甘えがあったんですね。去年の悔しい思いはしたくありません」。つまずいた分、世界一奪還へかける思いは強い。
 「今年は何の優遇もなく勝ち取った日本代表」という思いもある。昨年は北京五輪出場を目指して63kg級に上げて世界選手権出場を目指したため、本来なら59kg級で日本代表になる道はなかった。しかし63kg級で世界選手権への道が閉ざされたあと、2年連続世界一の実績によって、59kg級でのプレーオフ出場が認められた。


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 「最終的には、それに勝ち抜いて自分で取った日本代表ですが、やはり引っかかるものがありました。今回はジャパンビバレッジ杯で勝って、特別待遇ではなくプレーオフに出て、勝っての代表です」。同じ日本代表だが、感じる重みが違うのだろう。一切の甘え持たず、世界選手権のマットに向かうつもりだ(左写真=体力づくりに余念のない正田)。
 坂本と同じく、北京五輪は悔しさよりも日本選手を応援する気持ちになれたという。「世界選手権のマットに立てる喜びでいっぱいです」。この気持ちがあるからこそのことだろう。肩の手術を経てオリンピックを目指し、その間、3階級で闘った。「その日々に後悔していません。夢がある限り、追いかけてきました」。いま、2年ぶり4度目の世界一という夢が目の前にある。
 「負けるために行くのではありません。勝つために厳しい練習をやってきました。一番輝ける場です」。そう話す正田の表情は、完全なファイターの顔だった。