【特集】悔しいけど「勉強になった3位」(栄和人監督)…女子ワールドカップ【2008年1月22日】







 北京五輪の代表に決まった3選手を帯同して臨んだ女子ワールドカップだったが、昨年に続いて優勝を逃し、大会史上初めて3位に転落。吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)の連勝記録ストップというおまけまでついてしまった。

 栄和人監督(中京女大職)は「2kgオーバー計量の大会でもあったので、五輪選手は1試合ぐらいの起用にしようと思っていた。しかし他国がほぼベストメンバーで出場してきて、伊調馨が腰痛で無理をさせられない状態。吉田を出さなければ勝てない状況だった。2年連続で優勝を逃したくなかった…」と、迷った末の布陣だったと振り返る。

 一方で「勉強になった大会でもある」と言う。具体的には、吉田が陥ったタックル返しなどの返し技の判定。技を仕掛けた選手よりも返した選手にポイントが入ることが一般的になっており、特に強すぎる日本に対してはその傾向が顕著。吉田の敗戦直後には「誤審だ!」とまで口にしていたが、大会後は運用されているルールを冷静に分析。「タックルへ行って、自分の体が返るようなタックルは駄目。体が返らないタックルを身につけさせたい」と今後の課題を挙げた。

 最後に「若手とベテランのチームで、一体感ができた。みんな頑張っている。北京オリンピック、そして来年に向けての方向性は間違っていない」と話し、選手の健闘をねぎらった。


 48kg級・坂本真喜子(自衛隊=五輪チャンピオンのメルレレニに大善戦=右写真「千春さんとの試合のビデオを何度も見ていたけど、実際に闘ってみて最初のパワーがすごかった。そのため、なかなかタックルが取れなかった。ちゅうちょしてしまった。経験の差というか、見えない何かに圧倒されてしまった」

 
51kg級・坂本日登美(自衛隊=3戦全勝)「メダルを取れずに帰国できなかった。3位決定戦はオリンピック選手が1人もいない状況だったけれど、チームが一丸となれ、いい感じで闘えたと思います。(吉田の連勝ストップに)勝負は厳しいと思いましたし、気が引き締まりました」

 
55kg級・松川知華子(ジャパンビバレッジ=3位決定戦で貴重な勝利)「監督から『いつでも出る準備をしておけ』と言われていたので、出場となっても慌てませんでした。緊張することもなく、思い切り闘えました」

 
59kg級・山名慧(中京女大=米国戦で吉田敗戦のあとに試合)「沙保里先輩が負けたことが信じられなくて、気が動転して何をやっていいか分かりませんでした。でも千春先輩が『落ち着いてやれ!』とアドバイスしてくれ、自分を取り戻せました」

 
63kg級・西牧未央(中京女大=1勝2敗)「負けた試合は、今まで日本で負けた相手と同じスタイルの選手。自分の欠点が分かりました。馨さんのライバルのサラ・マクマン(米国)とまずまず闘えましたが、馨さんとふだんの生活や姿勢とかの差が出ているのだと思いました」

 
67kg級・新海真美(中京女大=3位決定戦でチームの勝利を決める4勝目をマーク=左写真「絶対に自分で決めてやる、と思いました。監督に『ひざをつかないタックルを』とアドバイスされ、それができました。(吉田と同室)沙保里先輩は負けた後にも声をかけてくれ、食事にも一緒に行ってくれて、私に気を遣わせない気配りをしてくれました。3位決定戦で勝てて沙保里先輩が喜んでくれ、よかったと思いました」

 
72kg級・佐野明日香(自衛隊=最終日、虫垂炎=盲腸=をこらえて出場し白星)「72kg級は1人しかいないので、動け、歩けるのだから出ました。ここで1人抜けるのは悔しいです。みんなと一緒に3位を取りたかった。もうキャリアの浅さを勝てない要因に言われるのは嫌です」



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