全日本グレコローマン・チーム第1陣がハンガリーから帰国【2008年2月29日】







 ハンガリーへ遠征し、数ヶ国による合同合宿に参加していた全日本グレコローマン・チームのうち、55kg級の長谷川恒平(福一漁業)、74kg級の岩崎裕樹(ホテル銀水荘)、84kg級の松本慎吾(一宮運輸)の3選手が、嘉戸洋コーチ(環太平洋大教)とともに2月28日、成田着のスイス航空で帰国した(左写真=右から嘉戸、松本、長谷川、岩崎)

 合宿には東欧を中心に約120選手が集まり、後半にはワールドカップ(2月28〜29日、同・ソンバトヘイ)に出場する韓国も参加。嘉戸コーチは「世界チャンピオン経験者も何人かいて、レベル的にもいい合宿だった。どの国もオリンピックモードに入っていて、去年までとは違う緊張感があった」と話、こうしたピリピリ・ムードの中で練習できたプラスを口にする。毎日の練習時間は決して長くなかったというが、「試合に直結した練習ができた」と振り返った。

■元・前世界王者との練習を積んだ松本慎吾

 過去の実績や国内合宿の練習試合の結果から、アジア選手権(3月18〜23日、韓国・済州島)の代表入りは間違いないと思われる松本慎吾は、合宿に2005年世界王者のアリム・セリモフ(ベラルーシ)、2006年世界王者のモハメド・イブラヒム・アブドエルファタ(エジプト)が参加しており、スパーリングを中心にかなりハイレベルの練習ができたもよう。グラウンド練習で1対3のグループ・スパーリング(1人がグラウンドの防御となり、3人が続けざまに攻撃する)も数多くこなしたそうで、「日本では(敵になる選手がいないので)やりたくてもできない練習。貴重な練習だった」と振り返った。

 グレコローマンのルールが変わって2年以上が経ち、どの選手も俵返しの防御が強くなっている。そのため俵返しの攻撃を狙わず、最初から組み手を変えてガッツレンチを狙う攻撃が主流になっている。松本も、十八番の俵返しを簡単に捨てるつもりはないが、それを防がれた時のためにガッツレンチのマスターにも取り組んでいる。この合宿でもその課題に挑んだが、外国選手相手には「まだうまくいかなかった面もあった。これからの全日本合宿で克服していきたい」と、新たな課題も見つかった遠征だったという。

 アジア選手権には、すでに五輪出場資格を持っている金正變(韓国=06年アジア大会優勝)とハサン・サマン・タフマセビ(イラン=06・07年世界3位)が不参加で、2番手が出てくるという情報を得たそうだ。彼らが出てきても優勝を狙うのは変わらないが、強豪不参加によって気持ちがより盛り上がるのは確かだろう。「マークするのはウズベキスタンくらい。今回は実質1週間強の合宿で、やや短くて物足りなかった。あまったエネルギーをすべてアジア選手権にぶつけます」と、来るべき勝負の時が待ち遠しそう
(右写真=到着ゲートを出る松本と長谷川)

■長谷川恒平は「ニューフェイス!」とアピール

 全日本王者として初めて冬の全日本チームの遠征に参加した長谷川は「世界2位の韓国選手ともやれて、実りのある合宿だった。ルーマニアやベラルーシには絶対に勝てる」と手ごたえ十分。外国選手は最初から決めそり投げを狙ってくる選手もいて、日本では経験できないタイプの選手とも闘え、貴重な経験だったようだ。

 何人かの外国選手から「トヨタ=豊田雅俊=(はどうした)?」と聞かれたそうだ。その時は「ニューフェイス!」と答え、自らの存在をアピール。アジア選手権の代表を勝ち取って世界の闘いに本格的に挑むことができるか。

 同じく冬の全日本遠征初参加となった岩崎は、気合が入りすぎたのか、ろっ骨を痛めるけがをしてしまい全力ファイトができなかった。幸い大事には至らず、アジア選手権の代表争いからの脱落は免れた。「外国選手は執念深くポイントを取りにくる。学ぶことが多かった。今回不完全燃焼だった分、次の勝負で燃えたい」と、アジア選手権に照準を合わせ気合を入れていた。

 なお、60kg級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)ら第2陣は、3月1〜2日の「ハンガリー・カップ」に出場し、4日に帰国する。



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