男子グレコローマンの全日本チーム第2陣が帰国【2008年3月5日】







 ハンガリー遠征を終えた男子グレコローマンの全日本チームの第2陣、60s級の笹本睦(綜合警備保障)、66s級の藤村義(自衛隊)、74s級の鶴巻宰(自衛隊)、96s級の加藤賢三(自衛隊)の4人が3月4日、成田着のスイス航空機で帰国した(右写真=左から川崎トレーナー、笹本、鶴巻、加藤、藤村、伊藤監督)

 第2陣は74kg級の鶴巻が遠征中に行われたゴールデンGP「ハンガリーカップ」で3位に入賞し、“がい旋帰国”の形。国際大会のメダルは2006年3月にブルガリアで行われたゴールデンGP「ニコラ・ペトロフ国際大会」以来で、シニアでは2005年アジア選手権などを含めて4度目の表彰台。世界屈指の激戦区の階級に加え、世界3位、5位と実績のある選手がエントリーした中で結果を残し、日本代表へ最高のアピールができた鶴巻だが、「表彰台の一番上じゃ ないので……」と晴れやかな笑顔はなかった。

 現段階では岩崎裕樹(ホテル銀水荘)に次ぐ2番手で、アジア選手権(3月18〜23日、韓国・済州島)の代表は微妙だが、「体重が落ちていれば、いつでもOK」と、北京五輪へ向けての逆転代表権獲得への自覚は十分。

■笹本は1階級上の世界2位との試合で強化

 北京五輪代表を決めている60kg級の笹本と96kg級の加藤は、「ハンガリー・カップ」でともに初戦敗退に終わったが、「(66kg級の)世界2位の選手とそこそこやれた」(笹本)、「スタンドの勉強になった」(加藤)と収穫あり。笹本は「1回戦の試合中に世界選手権前に痛めた古傷を負傷してしまった。まだ痛みはあります」と負傷具合が心配されるが、半年後の本番に向けて「選手の顔ぶれがだいたいわかってきた」と準備は整いつつある。反省点は最後のラウンドを取られてしまったこと。「最後まで集 中できるようにしたい」と今後の課題を語った。

 加藤は、協会の予算の関係で重量級カットの方針が続き、初の冬の海外遠征だった。世界選手権で見せた鮮やかな首投げは「かける隙はたくさんありましたが…」と封印してイメージトレーニングにとどめておき、「ローリングでのポイント獲得を目指しました」とグラウンドの攻防に内容を絞ったようだ。

 スタンドを得意とする加藤だったが、ハンガリーカップ1回戦では、スタンドのまま組み手で落とされて、かぶり返しをくらってしまった。「外人選手はスタンドで前に出るイメージがなかったんですが…」とスタンドでの反省が残ったようだ。

 また、アテネ五輪金メダリストのイブラヒム・カラム(エジプト)とも練習を行った。一部からは全盛期に遠く及ばないと言われているカラムだが、「強かったです(笑)」と言う。体が柔らかい部分がやはり金メダリストだったようだが、本番で対戦した場合は、「アレを使います」と得意の投げ技でやっつけること を宣言した。

■多くの国の代表級の選手との練習に成果あり

 一方、長期にわたっての海外遠征が初めてだった66kg級の藤村は、一回り大きくなって帰ってきた。「世界代表クラスの選手は、取るべきところでしっかりとポイントを取っているところがすごい」とレベルの高さ実感したが、自分と世界の差を正確に知ることで「海外で勝てる自信ががついてきた」と語った。全日本選手権2位のため、 現時点ではアジア選手権の代表入りの可能性は低いが、遠征を終えて、「俺が俺が!」という貪欲な気持ちが出てきたようだ。

 伊藤広道監督(自衛隊)は「思ったより多くの国が遠征に参加してお り、目的は果たせた」と振り返る。大会前に行われた欧州各国との合同合宿でそれぞれの代表クラスの選手たちと練習を積めたことで、五輪対策は十分にできたようだ。ただし、五輪まで半年ということもあり、手の内を隠しながらの遠征であったようだ。

 全日本グレコローマン・チームは3月7日から東京・ナショナルトレーニングセンター(NTC)で、アジア選手権前最後の合宿に入る。

(文・撮影=増渕由気子)



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