松永共広(ALSOK綜合警備保障)、池松和彦(K-POWERS)が五輪出場権獲得…アジア選手権第2日【2008年3月19日】








 アジア選手権第2日は3月19日、韓国・済州島のハルラ体育館で男子フリースタイル4階級が行われ、55kg級の松永共広(ALSOK綜合警備保障)が優勝、66kg級の池松和彦(K-POWERS)が銅メダルを獲得し、それぞれ北京五輪の出場権を獲得した(右写真=左から松永共広と池松和彦)

 55kg級の松永は初戦で出場権のあるカザフスタンの選手(出場権を取った選手とは別の選手)を破り、キム・ソンナム(北朝鮮)を第3ピリオドのラスト11秒に逆転勝ち。準決勝で、タギ・ダダシ(イラン)を破って決勝へ進出。
地元の梁栽熏(ヤン・ヤエフーン=韓国)との一戦は微妙な判定ながら、最後は松永の手が上がり、北京行きキップを手にした。

 66kg級の池松は初戦に勝ったあと、2回戦でヤン・シュンソン(北朝鮮)に敗れたが、ヤンが決勝に進んだため敗者復活戦へ回り、勝ち抜いて3位を確保した。ヤンは優勝したが、昨年の世界選手権に出場していないため五輪出場権争いから除かれ、2位のモンゴル、もう一人の3位のインドも出場権を持っているため、3位の池松が五輪出場権を手にすることになった。

 84kg級の鈴木豊(自衛隊)は初戦でカタール選手を破ったものの、準決勝で五輪出場権を持っていないモンゴル選手に敗れ、3位決定戦でも敗れて5位。120kg級の荒木田進謙(専大)は初戦でモンゴル選手に敗れ、敗者復活戦に回れなかった。

 国別対抗得点は日本が48点で優勝し、2位が47点のイラン、3位はモンゴルが47点で続いた。日本の優勝はアジア選手権では初のことになる。

 各試合結果は下記の通り。


 ◎男子フリースタイル

 【55kg級】松永共広(ALSOK綜合警備保障)     優勝=12選手出場

1回戦 ○[2−0(4-3,4-0)]Serikbaev A.(カザフスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、松永のタックルを掛け損ねて1点を失ったが、くぐりタックルで1−1へ。ガッツレンチは自分の両肩もついてしまって両者2点。しかしラスト20秒、胴タックルを決めて4−3とした。第2ピリオドは松永が中盤に正面タックルを決め、ラスト30秒にも胴タックルで3点を加えた。

2回戦 ○[2−1(0-5,4-1,4-1)]Kim Sun Nam(北朝鮮)

 《試合経過》第1ピリオド、カウンターで右脚を取られた松永が外へ出されて1失点。終盤、逆転を狙って仕掛けたが、そり投げ気味に投げられ押さえ込まれ、あわやフォール負けのピンチ。辛うじてこらえたが、スコアは0−5。第2ピリオドも右脚を取られて場外に出され1失点。
しかしラスト35秒、正面タックルから押さえ込み、4−1と逆転した。

 第3ピリオド、くぐりタックルで先制した松永だが、グラウンドを仕掛けようとして体を入れ替えられ1−1へ。残り時間は35秒。松永はタックルから飛行機投げを仕掛けて1点を取り、もつれながらも相手のがぶり返しを押さえ込み、2点を加えて辛勝した。

【1回戦1P】1−1のあとの松永(青)のガッツレンチは両者2点。 【1回戦2P】中盤に松永が正面タックルで1点を取った。 【1回戦1P】1点を先制された松永(青)は必死の反撃。 【1回戦3P】リードされて終盤、飛行機投げで勝負をかけた。

準決勝 ○[フォール、2P2:00(1-1,3-0)]Dadashi Taghi(イラン)

 《試合経過》第1ピリオド中盤、相手がタックルから飛行機投げ気味に攻めて1失点。松永は向き合ってバックを取り返し1−1のラストポイント勝ち。第2ピリオドは一進一退で進んだあと、終了間際の相手のタックルにタックル返しを見事に決め、押さえ込んでそのままフォール勝ち。

【準決勝1P】相手の飛行機なげ気味の技を見事に受けた松永(青)。 【準決勝2P】相手のタックルをしっかり受けた松永は、タックル返しで一気にフォールを決めた。

決勝 ○[2−1(0-1,5-4,2-0=2:12]Yang Jae-Hoon(梁栽熏=韓国)

 《試合経過》第1ピリオド、0−0で2分間を終わり、ボールピックアップで負けた松永がテークダウンを決められた。第2ピリオドは松永が右脚を取られながらもレッグホールドで返した。しかしスコアは2−2。もう1度返したがここでも2−2。さらにタックルを受け、同じようにレッグホールド。松永が腕取り固めの体勢に持っていたが、不可解なブレーク。ここで2分間を超すビデオチェックが行われ、4−4で試合再開。ラスト2秒、松永が執念のタックルを決めてピリオドスコア1−1とした。

 第3ピリオドは0−0で2分間を終了し、松永は再びボールピックアップで負けた。しかし、お尻をマットにつきながらも必死のレッグホールド。見事に返したものの、レフェリーの判定は相手の2点。一度はこのまま試合が終わるところだった。しかし本部席から国際レスリング連盟(FILA)のマリオ・サレトニグ審判員長が降りてきて審判団を集めビデオチェック。最後は松永の2点の技が優勢として2点が挙がった。。

【決勝2P】相手のタックルをレッグホールドで返す松長(青)。 【決勝2P】腕を取ってフォールを狙う松永に謎のブレークがかかった。 【決勝3P】クリンチの防御でこらえる松永。必死に返した。 【決勝3P】松永のポイントに変更され、和田コーチと握手。

【決勝3P】辛く苦しい闘いだったが、北京への道を開いた。 【表彰式】キッズ時代から何度目の金メダルになるのか。数多くの優勝を経験している松永にとって、最も価値ある金メダルだろう。北京ではもっと価値ある金メダルを取ってほしい。

 【66kg級】池松和彦(K−POWERS)     3位=16選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0,3-0)]DADSHPOURKINAEI Saeid(イラン)

 《試合経過》一進一退の第1ピリオド、終了間際に腕をからめてもつれ、終了直前に池松が相手を返して2点。ビデオチェックでも判定は変わらず。
第2ピリオドも0−0で試合が進んだが、ラスト30秒、池松が片足タックルを決められて1失点。しかしラスト10秒を切って正面タックルで3点を取り、逆転した。

2回戦 ●[1−2(1-@L,2-0,0-1=2:06)]Yang Chung Song(北朝鮮)

 《試合経過》第1ピリオド、池松が正面タックルで1点先制。終盤、右脚を取られ、こらえて返したはずだったが、ポイントにならず、最後にバックを取った相手に1点。1−1のラストポイントで落とした。第2ピリオドは正面タックルで1点を取り、終了間際に相手のタックルをかわして2−0へ。

 第3ピリオド、0−0で2分間が終了し、ボールのピックアップで相手の攻撃。池松はクリンチから守ることができなかった。

【1回戦1P】0−0で終了間際にもつれ、相手を返した池松(青) 【1回戦2P】0−1でラスト10秒に正面タックルで逆転。 【2回戦1P】相手のタックルを返したはずだが、池松は0点! 【1回戦3P】クリンチからの相手の攻撃を必死に守ったが…。

敗者復活戦 ○[フォール、2P0:35(1-@L,3-0)]Ignatly Androsov(タジギスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、池松が正面タックルで1点を先制。ラスト33秒にテークダウンを許し1−1のラストポイントでこのピリオドを落とした。第2ピリオド、池松が正面タックルから押さえ込み、そのままフォールを決めた。

3位決定戦 ○[2−0(4-0,3-0)]Mazen Adan Kadmani(シリア)

 《試合経過》第1ピリオドの序盤に池松が5点でもおかしくない豪快な正面タックルで3−0。中盤にも1点を加えた。第2ピリオドもバックを取ったあとアンクルホールドで攻めて3−0として勝った。

 この勝利のあと、もうひとつの3位決定戦でカザフスタン選手が敗れ、池松の五輪出場権獲得が決まった。

【敗復戦1P】正面タックルで先制し、幸先いい池松(青)。 【敗復戦】序盤に正面タックル。そのままフォールを決めた。 【三決戦1P】池松(赤)が開始早々に豪快なタックルで3−0へ。 【三決戦2P】もつれながらもバックを取り、アンクルホールド。

【三決戦】この段階ではまだ五輪出場権獲得は決まっていなかった。 【表彰式】銅メダルを獲得した池松。優勝した北朝鮮が昨年の世界選手権に出ていなかった幸運も手伝って五輪出場権を獲得した。福田富昭会長も祝福。

 【84kg級】鈴木豊(自衛隊)     5位=10選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[フォール、1P0:39(4-0)]Hussain Ahmad Gowdooei(カタール)

 《試合経過》第1ピリオド、鈴木が圧力をかけ左脚を取って場外へ。さらに左脚への片足タックルでテークダウンを奪い、アンクルホールドを仕掛けて、そのままフォール。

3回戦 ●[0−2(0-3,1-@L)]Ganzorig Chagnaadorj(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド、一進一退のあと、鈴木はプロレス技のボディスラムのような技を受けてしまって3失点。第2ピリオドは中盤にバックを取って1点を先制したものの、ラスト12秒にタックルを決められ、1−1のラストポイントでこのピリオドを落とした。

【1回戦1P】未知の相手に最初は慎重に攻めた鈴木(青)。 【1回戦1P】アンクルホールドから一気にフォールへ。 【2回戦1P】前半は互角だったが、3点技を受けてしまった鈴木(赤)、 【1回戦2P】中盤に1点を取り、ペースをつかんだが、終盤に1−1へ。

3位決定戦 ●[0−2(1-3,1-2))]Ammaev Abdul(ウズベキスタン)

 《試合経過》第1ピリオド、鈴木はタックルとアンクルホールドで3点を奪われ、反撃を試みるが、得点は終盤に押し出しで奪った1点のみ。第2ピリオドは差し合いからの胴タックルで場外ポイント1点を奪った。しかし中盤にタックルでバックポイントを奪われ1−1。その後、とどめのタックルを決められ、必死にタックル返しを試みるが終了のブザーが鳴った。

【三決戦1P】タックルで1点を奪われた鈴木(青) 【三決戦2P】必死の反撃も実らず、メダルを逃した。

 【120kg級】荒木田進謙(専大)      7位=8選手出場

1回戦 ●[0−2(2-3,TF0-6=1:02)]Chuluunbat Jargalsaikhan(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド、相手のタックルをうまい身のこなしで場外へ出した荒木田。ラスト16秒の段階で2−2のラストポイントで勝っていた。しかしラスト10秒。くぐられてバックを許し2−3へ。第2ピリオドは胴タックルでのあと、5秒以上押さえ込まれて0−4。さらにタックルを2度決められ、0−6とされた。

【1回戦1P】相手のタックルをうまく点につなげた荒木田(赤)。 【1回戦2P】0−5から3度目のタックルを受けTフォール。


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