【特集】右ろっ骨負傷の奮戦もむなしく初戦敗退…男子グレコ74kg級・岩崎裕樹【2008年3月24日】








 最終日で唯一の五輪出場権への挑戦階級だった男子グレコローマン74kg級の岩崎裕樹(銀水荘)は、初戦で昨年世界10位の (韓国)に敗れ、早々と出場権獲得の夢が消えた。

 第1ピリオドのグラウンドの防御でフライングをおかしてしまい2失点。気持ちの切り替えがうまくいかなかったのか、再開後に俵返しで投げられ、すぐに立ち上がったものの、相手の突進を受けてしまって場外へ。

 実はこの時、右ろっ骨を痛めて動けない状態だったようだ。気力を振り絞って第2ピリオドを闘い、スタンドは辛うじて0−0だったが、グラウンドでガッツレンチを耐えられずに回ってしまった
(左写真)

 試合後は「コンディションはよかったのですが…。気持ちを切り替えて最終トライアルを頑張ります」と言っただけで言葉少なで引き上げ、すぐにろっ骨の治療へ。動くことも辛くなり、午後の部は会場に来ることなく静養。帰国後は精密検査を受けることになりそうだ。

 嘉戸洋コーチは「もっと自信を持って闘ってほしかった。自信のなさがフライングにつながった」と見ている。動けなくなるほどの激痛に耐えながらも第2ピリオドを闘った気力は買えるにしても、「それでも勝たなければならないのが勝負だ」と厳しく言った。

 グレコローマンの最終トライアル第1戦は5月10〜11日のローマ大会で、治療のための時間がとれることが幸いだが、必ずしも岩崎の派遣とは限らない。嘉戸コーチは「岩崎のけがの具合と出てくることが予想される強豪を見てから、次の日本代表を決めます。この階級だけでなく、どの階級も勝つために2番手を派遣することもありえる」と話し、しっかりと練習をこなしたその時点での最強選手を派遣することを強調した。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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