【特集】逆転フォールで常勝チームの砦(とりで)を死守!…84kg級・菊池崚(霞ヶ浦)【2008年3月31日】








 全国高校選抜大会の学校対抗戦優勝を逃した霞ヶ浦(茨城)から、84kg級の1年生、菊池崚が優勝し、同校のメンツを守った。団体戦はチーム事情で120kg級に起用され、3回戦の網野(京都)戦は3勝3敗から決勝の勝利を挙げた選手。個人戦では、霞ヶ浦から決勝に進んだ3選手のうち、50kg級と66kg級の選手が負けた後、優勝を引き寄せた。

 決勝の横沢徹(岩手・盛岡工)戦は第1ピリオド、タックルからの投げ技などを受けて0−6で完敗した。しかし第2ピリオド、相手の攻撃をさばいて体を預け3点を先制。再度タックルで攻められた時に脚をうまく使ってテークダウンを奪い
(右写真)、そのままフォール勝ち。

 第1ピリオドの完全な劣勢がうそのような逆転快勝劇に、表彰式が終わって金メダルを首からかけてもらっても「まだ実感が湧きません」と信じられない様子だ。中学時代の全国大会は2005年3位、2006年2位と優勝を逃していただけに、進学1年後の全国一に「(2月の)関東選抜でも2位でしたし…」と驚きを隠せない。

 しかし、決勝に進んだ霞ヶ浦の2選手が敗れた現実を見せられたとき、「やってやろう、という気持ちが出てきた」とも話す。負けん気はかなり強いようだ。

■タックルに柔道技を取り入れたレスリングが目標

 中学時代の全国チャンピオンであっても、進学後は先輩との実力差にがく然とすると言われる霞ヶ浦。「本当にきつかったです。体力的にも、技術のマスターにも」と振り返り、特に関東選抜で優勝を逃したあとの練習は辛かったというが、そのハードトレーニングの中で実力と勝負度胸を身につけていったようだ。

 小学校時代は柔道の選手で、今も柔道技が出るという。決勝も脚をうまく使った柔道殺法での勝利。ルールが変わってタックルでのテークダウンを狙うのが一般的となっている今のレスリングだが、一気にフォールを狙う大技を持っているのは大きな魅力。

 今後もタックルに投げ技を混ぜた豪快なレスリングをやっていくつもりだが、大沢友博監督からは「不用意に投げ技にいかないように」と注意されているという。苦しまぎれでの投げ技ではなく、ここぞという時の勝負で確実に決められる投げ技をマスターすることが今後の課題となりそうだ。

 「目標は日本一。そのためにもインターハイで頑張りたい」。霞ヶ浦の復活を支えることができるか。



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