【JB杯優勝選手特集】51kg級・坂本日登美(自衛隊)【2008年4月7日】








 51s級の最強レスラー、坂本日登美(自衛隊)の心は折れない−。北京オリンピック出場の目標が消えても、「2008年世界選手権で金メダル」との目標を立て、その実現に最大の努力を惜しまず精進。今回の大会で2年ぶり5度目の女王に返り咲いた。

 五輪出場権をかけて戦った1年前のこの大会(当時「ジャパンビバレッジクイーンズカップ」)。女王・吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)の最大のライバルとして決着をつけるべくマットに立ったが、その夢もかなわず準決勝で敗退。消化不良のまま引退かと思われたが、日登美の気持ちが切れることはなかった。半年後の世界選手権では51s級で復活優勝。不屈の精神で世界V5と無敵の女王の座を射止めた。

 気持ちが切れなかったのは、今年10月に東京で世界選手権が行われるからだ。「2008年に行われる世界選手権が私の五輪」と心に決め、昨年12月の天皇杯全日本選手権も51s級でエントリーし危なげなく優勝した。国内外51s級では無敵。世界選手権や大陸選手権、ワールドカップでは黒星を喫したことが一度もないパーフェクトレスラーだ。

 今大会も1回戦は26秒でフォール勝ちし、2回戦でもファーストアクションのタックルから腕を取ってフォールした。決勝戦では高校生相手に失点を許したが、最小失点にとどめて2−0のストレート勝ち。女王の貫禄を見せた。

 その試合の4試合前には48kg級に出場した妹の真喜子(自衛隊)が3年ぶりの4度目の優勝を決めていた。その話題に触れられると、「真喜子と優勝したのがいつだか覚えていない」と苦笑した。過去、2人がそろって優勝した年は2004年の全日本選手権。近年の“姉妹優勝”の冠は伊調姉妹のものだった。

 その苦しみを乗り越えて、ひさびさに妹・真喜子とのツーショットで写真に納まった坂本姉妹。カメラマンのフラッシュで輝きを増す金メダル以上に坂本姉妹の表情が光った。

 「10月の世界選手権では、自分も周りも納得のいく金メダルを取りたい」。妹の思いも背負って10月に6度目の世界女王を目指す。

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)



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