高塚紀行(日大コーチ)ら3選手ともとも五輪出場権を取れず…北京五輪予選最終ステージ第1戦第2日【2008年4月20日】








 【スイス・マルティニー、ビル・メイ記者】男子フリースタイルの北京オリンピック出場権獲得予選の最終ステージ第1戦第2日は4月19日、スイス・マルティニー(右写真)で3階級が行われ、日本の3選手はいずれも出場権を取れなかった。

 84kg級の鈴木豊(自衛隊)は初戦から好調で、3試合を勝って準決勝へ進んだ。しかし、3月のアジア選手権2位のチャグナードルジ・ガンソリグ(モンゴル)に0−2で敗れ、3位決定戦へ。そこでは2005年世界ジュニア3位のハルチュン・イェルキャン(アルメニア)にクリンチの攻防で敗れ、3位以内に与えられる五輪出場権獲得はならなかった。

 60kg級の高塚紀行(日大コーチ)は初戦でアテネ五輪王者のヤンドロ・ミゲル・クインタナ(キューバ)に1−2で黒星。しかしクインタナが決勝へ進んだため、敗者復活戦へ。その初戦は快勝したが、2戦目で2006年世界王者で3月のアジア選手権で勝っているセイェド・マハマディ・パフネカライ(イラン)に0−2で敗れ、3位決定戦へ進めなかった。

 96kg級の小平清貴(警視庁)は初戦で勝ったあと、2回戦でルイス・ビベネス(ベネズエラ)に敗れ、ビベネスが決勝に残れなかったため敗者復活戦へ回ることができなかった。

 各選手の成績は下記の通り。

(撮影=ビル・メイ)


 ◎男子フリースタイル

 
【60kg級】高塚紀行(日大コーチ)     13位=28選手出場

1回戦 ●[1−2(3-1,0-1,0-1)]Yandro Miguel Quintana(キューバ)

 《試合経過》高塚が第1ピリオドの開始のホイッスルからすぐに両脚タックルでクインタナをテークダウン。返されたため、レフェリーはクインタナのポイントを挙げたが、ジャッジとチェアマンは高塚の3点で3−0。そのまま守ったが、最後にコーションを取られてしまい3−1。 第2、第3ピリオドはクインタナが上半身をうまく使ったレスリングを展開し、高塚が攻めあぐみ、タックルなどのチャンスがなく、ともに0−0。2度ともクインタナの攻撃となり、2度ともポイントを取られてしまった。

【1回戦】第1P、高塚(赤)タックルで五輪王者から3点。 【1回戦】「組むな!」というアドバイスを受けて闘う高塚。 【1回戦】第2、3Pは五輪王者がクリンチからポイント。

敗復戦1 ○[2−0(2-0,2-0)]Gergo Woller(ハンガリー)

 《試合経過》欧州3位の選手に対して、高塚がタックルを取ったりして、一方的に勝利。

敗復戦2 ●[0−2(0-6=1:24,0-1)]Seyed Mohammadi Pahnekalaei(イラン)

 《試合経過》2006年の世界チャンピオンは第1ぴ織オド、片脚タックルを取ってアンクル・ホールドで3度返し、このピリオドは高塚の完敗。第2ピリオドは高塚が防御を固めたものの、ポイントもなかなか取れない。相手が終盤に片脚ぎみの横倒しで決勝の1点を挙げた。 

【敗復1】高塚(赤)は2年連続欧州3位のハンガリー選手にレスリングをさせずに快勝。いいムードだったが…。 【敗復2】2006年世界王者のアンクルホールドに屈した。

 【84kg級】鈴木豊(自衛隊)      5位=28選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0,8-1)]Marco Arfe(イタリア)

 《試合経過》第1ピリオドを2−0で取った鈴木は第2ピリオドも積極的に攻め、通称パンケーキやアンクルホールドなどでフォールの体勢へ。タイムアップでフォールはならなかったが、ピリオドスコア2−0で勝利。

2回戦 ○[フォール、1P(F5-0)]Radoslaw Marcinkiewicz(ポーランド)

 《試合経過》鈴木が21歳の相手に対し、開始早々にタックルでテークダウンを奪い、すぐまたさき。1度返し、2度目の返しで抑えてフォール勝ち。

3回戦 ○[2−1(0-1,2-0,7-0)]Armands Zviebulis(ラトビア)

 《試合経過》鈴木がスロースタートで、第1ピリオドは0−0。クリンチの防御となってしまい、欧州ジュニア王者が先制。第2ピリオド入ってもまだエンジンがかからずなかなかポイントが取れなかったが、ラスト30秒にタックル入って、もつれながらも鈴木が2点獲得。

 第3Pででは本来の鈴木の動きになり、積極的に両脚タックル、脇くぐりタックルを仕掛け、7−0のテクニカルフォール勝ち。

準決勝 ●[0−2(1-4,2-3)]Chagnaadorj Ganzorig(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド、鈴木がゴービハインドで先制、しかしラスト30秒にガンソリグが片脚タックルで1−1。鈴木はスイッチで再逆転を狙ったが失敗して1−3。第2ピリオドも鈴木がタックルで先制したが、場外で1−1へ。スタンドになって、両方が両脚タックルを取ろうとしてもつれ、ガンソリグがポイントを獲得。最後に鈴木が片脚タックルからバックを取って2−2とし、ラスト・ポイントで勝利を目前にしながら、ガンソリグがカウンター攻撃をしかけてもつれ、相手にポイントが入ってしまって2−3。鈴木が3位決定戦に回ることになった。

【1回戦】第2P、フォールを狙う鈴木(青)。 【2回戦】鈴木(青)がまたさきを仕掛け、フォールに持ち込む。 【3回戦】ラトビアの若手にやや粘られた鈴木(赤)

【準決勝】第1P、鈴木(青)が先制したが、1−3と逆転される。 【準決勝】第2Pもバックで1点を先制したが守り切れず。

3位決定戦 ●[1−2(1-0=2:02,0-1;2:03,0-3=2:08)]Harutyun Yenokyan(アルメニア)

 《試合経過》鈴木はポイントをやらなかったが、逆に取れず、全ピリオドともクリンチで決まった。第1ピリオドのクリンチは鈴木の選択で、返されたものの鈴木のタックルが有利で先制。第2Pはアルメニアが取った。

 3Pはアルメニアの選択で、鈴木は相手のグリップを切り勝利が見えたが、すぐに持ち上げられて背中から落とされ、無念の黒星。目の前の五輪出場権を逃した。

【3決戦1P】クリンチから鈴木(青)が辛うじて1点。 【3決戦3P】クリンチでグリップを切ったが、攻撃された。

 【96kg級】小平清貴(警視庁)     6位(8位から繰り上げ)=28選手出場

1回戦 ○[フォール、2P(4-0,F4-0)]Ian Wardell(豪州)

 《試合経過》第1ピリオド、小平が豪快な両脚タックルなどで4−0。第2ピリオドはゴービハインドからまたさきを仕掛け、フォールで幸先いいスタート。

2回戦 ●[1−2(0-3,4-1,2-3)]Luis Vivenez(ベネズエラ)

 《試合経過》第1ピリオド、小平がタックルを取られ、相手のネルソンでフォールに追い込まれる危ない状況となったが、何とか脱出。第2ピリオド、またタックルを受け取ってしまったものの、相手のローリングのミスで小平が上になり、4−1で返してピリオドスコアは1−1へ。

 第3ピリオド、パンアメリカン大会の銀メダリストの相手が疲れを見せて、小平のペース。片脚タックルから場外に出して2−0。しかしラスト30秒、相手のタックルとガツレンチを受けてしまい、逆転されてしまった。

【2回戦】第2P、小平(青)は冷静に闘ってタイスコアへ。 【2回戦】相手はスタミナ切れだったが、最後の粘りに屈した。

 ※ベネズエラが決勝に残れなかったため、敗者復活戦にまわれず。



《iモード=前ページへ戻る》

《前ページへ戻る》