【特集】日体大の四冠獲得へ向けて頼もしさ増す…男子ジュニア・フリー84kg級・松本篤史(日体大)【2008年4月28日】






 表彰式の最後に今年JOCジュニアオリンピックのJOC杯(最優秀選手)がコールされた瞬間、男子ジュニア・フリースタイル84kg級の松本篤史(日体大=左写真)は、「えっ、オレ?」とびっくりした顔で、はにかみながら壇上に昇った。

 74kg級から階級を上げて1年。すっかり84kg級の体を手にし、いまや同世代で無敵の存在に成長。誕生日が3月24日と早生まれのため、大学3年ながらJOCに出場したが、その中で抜群の強さを見せ付け、決勝戦も、2年連続高校四冠を制して昨春、鳴り物入りで日大に入学した永田祐城に完勝した。
 
 6分間め続けるスタイルが売りの松本。同世代では無敵でも、全日本クラスと比べるとまだ力の差が目立つ。日体大の安達巧監督は「まだ荒削り」とも評し、松本自身も昨年の秋田国体でアテネ五輪74kg級代表の小幡邦彦(ALSOK綜合警備保障)と対戦したときに、うまさの「差」を感じていた。

 しかし、その差はこの半年間で見事に埋めつつあるようで、明らかにうまさが増してきている。今大会の決勝戦では、タックル1本に頼る試合構成ではなかった。本格的にシニア参戦を前に、試合巧者になるためのステップを確実に踏んでいるようだ。

 安達監督による今大会の松本の評価は「70〜80点くらい。やっぱり荒削り。まだ、(主将の)門間順輝が一枚上かな」と辛口なコメントを出したが、8月の全日本学生選手権(大阪)の決勝戦では、門間と松本の同門対決を青写真として描いている。それだけ、松本の成長が著しい。

 5月には学生最大のイベント東日本学生リーグ戦が行われる。部員80名を誇る日体大は、”優勝”が宿命。昨年は、団体戦の4冠獲得を目の前に全して日本大学選手権でつまづいてしまった。その悔しさをバネに、3連覇のかかるリーグ戦からやり直す所存だ。「当たり前だけど、4冠取りますよ。」と安達監督の舌も滑らか。

 その布陣には、もちろん松本も入っている。昨年の段階では未知数の戦力だったが、今年は”主力”として参戦する。「キーマンはお前だって言われてます」と自覚十分の松本。学生リーグ戦3連覇に向けて、日体大・松本篤史が幸先いいスタートを切った
(右写真=決勝で闘う松本)

(文・撮影=増渕由気子)

■松本篤史(まつもと・あつし)
 フリースタイル84KG級。1988年3月24日、群馬県生まれ。群馬・館林高校卒。日体大3年生。2005年アジア・カデット選手権69kg級優勝。181cm。血液型O型。兄はグレコローマン60kg級全日本2位の松本隆太郎(ヤクルト)。 



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