湯元健一(日体大助手)が優勝、五輪出場権を獲得…北京五輪予選最終ステージ第2戦第2日【2008年5月4日】






 【ポーランド・ワルシャワ、ビル・メイ記者】男子フリースタイルの北京オリンピック出場権獲得予選最終ステージ第2戦(最終戦)第2日は5月3日、当地で3階級が行われ、60kg級の湯元健一(日体大助手)が4試合を勝ち抜いて決勝進出。五輪出場権を獲得し、決勝でも勝って国際大会初優勝を飾った(右左写真=決勝進出を決め、五輪出場権を獲得した湯元)。男子フリースタイルの五輪出場権獲得は55、66kg級に続いて3階級目。

 ただし、湯元は昨年12月の天皇杯全日本選手権で2位の選手であるため日本代表決定とはならず、6月25・26日の明治乳業杯全日本選抜選手権(東京・代々木第二体育館)で優勝することが日本代表の条件となる。

 優勝できなかった場合は、全日本チャンピオンの高塚紀行(日大コーチ)、全日本選抜選手権の優勝選手の3選手(高塚が優勝した場合は2選手)によってプレーオフが行われ、その勝者が日本代表となる。

 湯元は初戦で予選第2戦5位のマンダカナラン・ガンゾリグ(モンゴル)を破り、2回戦で欧州5位のルーマニア選手、3回戦で2004年欧州ジュニア3位のモルドバ選手を撃破。準決勝で北朝鮮の新鋭、ヨ・トンヒョクに2−1で逆転勝ちし、決勝進出を決めた。

 決勝は3月のアジア選手権8位のキム・ヨンダエ(韓国)と対戦し、重圧から解放されて伸び伸びしたレスリングを展開。2−0で勝った。

 96kg級の小平清貴(警視庁)と120kg級の荒木田進謙(専大)はともに初戦で黒星。その相手が次の試合で敗れたため、敗者復活戦に回ることができず、五輪出場権を取れなかった。これによって男子フリースタイルの五輪出場は最大で4階級となり、アテネ五輪の5階級を下回ってしまった。

 120kg級に出場したデニス・ロバーツ(豪州=国士大)も初戦でラトビア選手に敗れ、五輪出場権を取れなかった。

 各階級の成績は下記の通り。

(撮影=増渕由気子、ビル・メイ)


 ◎男子フリースタイル

 【60kg級】湯元健一(日体大助手)     優勝=28選手出場

1回戦 ○[2−1(2-1,3-4,2-0)]Ganzorig Mandakhnaran(モンゴル)

 《試合経過》湯元は第1ピリオド、相手の腕を引いて入り込んでのタックルを取って1−0。そのあと、場外に出すこと1度ずつで2−1とこのピリオドを先制。第2ピリオドは両者が積極的に攻めて3−3になったあと。、モンゴルがローリング。湯元が一時上なったように見えたが、審判の判断は湯元の2点ではなく、モンゴルの1点。ピリオドスコア1−1へ。

 第3ピリオド、両者が消極的になってお互いに技をあまり仕掛けなかったが、湯元がラスト30秒に片脚タックル。相手は必死に逃げたが、場外に送り出して試合終了。

【1回戦2P】湯元(青)が先制したが、後半もつれる。 【1回戦2P】積極的に攻めた湯元。3−3へ。 【1回戦2P】もつれたあと、湯元に点が入らず3−4へ。

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2回戦 ○[2−0(2-1,4-1)]George Bucur(ルーマニア)

 《試合経過》第1ピリオド、湯元が腕取りからタックルで先制したが、バックを取られて同点。しかしラスト30秒、湯元が冷静に両脚タックルを決め2−1。第2ピリオドは湯元が安定したレスリングを見せ、片脚タックルからネルソンに返して4−0とリード。終了前にローシングルを許したがリードを守り切った。

【2回戦1P】ラスト30秒、湯元(青)が貴重なポイント。 【2回戦2P】湯元が片脚タックルでポイントを取る。 【2回戦2P】ネルソンで返して4−0とリードを広げた。

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3回戦 ○[2−1(1-@L,4-0,4-1)]Andrei Perpelita(モルドバ)

 《試合経過》湯元は腕取りからタックルを取って1−0と好スタート。しかしタックルをミスして1−1。ラストポイントによってこのピリオドを取られた。第2ピリオド、湯元はペースアップし、バック回ってトーホールドなどで4−0。

 第3ピリオド、ハイクラッチのタックルを決められてリードを許したものの、相手のローリング失敗で湯元が上になり、ビデオチェックの結果、2−1と逆転。タックル、場外でポイントを加え4−1で振り切った。

【3回戦1P】湯元(青)が片脚タックルで攻める。 【3回戦3P】ハイクラッチのタックルでリードを許した湯元。 【3回戦3P】もつれてビデオチェック。湯元のポイントへ。

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準決勝 ○[1−2(0-1,4-0,1-0=2:02)]Jo Tong hyok(北朝鮮)

 《試合経過》第1ピリオド、湯元は相手のゴービハインドで0−1とされ、先制された。しかし第2ピリオド、腕取りタックルで1−0とし、レッグホールドなどで4−0としてピリオドスコア1−1へ。

 第3ピリオドは両選手とも慎重なレスリング。湯元のタックルがもつれ、返したか返されたか微妙なシーンとなってビデオチェックのあと0−0のまま。そのままのスコアでこのピリオドが終わり、湯元がクリンチ権を獲得。スタートが合わず両選手に注意。やっとスタートして、湯元が相手をすぐ倒した。チェアマンは湯元がグリップをちゃんと握っていなかったのでは疑義をはさみ、ビデオチェックへ。結局、認められ、湯元の手が上がって、日本としての北京行きキップを獲得した。

【準決勝1P】決勝進出をかけて北朝鮮の新鋭と闘う湯元。 【準決勝2P】湯元はレッグホールドで4−0とリード。 【準決勝3P】もつれた両者。ビデオチェックでともに0点。 【準決勝】クリンチ。湯元のグリップが問題になったが…。


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決勝 ○[2−0(2-0,6-1)]Kim Jong-Dae(韓国) 

 《試合経過》北京五輪の出場権もう手にした湯元選手はリラックスして流れのあるレスリングを見せた。第1ピリオドは得意の腕取りから片脚タックルで先制。そのあと、ゴービハインドのポイントも獲得。第2ピリオド、キムはローシングルを取ったが、湯元は冷静にバック回り、ガツレンチで2回返して、勝負を決めた。

【決勝1P】湯元(青)が腕取りからのタックルで先制。 【決勝1P】相手のタックルをかわして回り込み2−0へ。 【決勝2P】キムがローシングルで1点を先制。 【決勝2P】湯元がバックを取り返して反撃。

【決勝2P】ガッツレンチで2+1点を加えた。 【決勝2P】国際大会初の金メダルを獲得。

 【96kg級】小平清貴(警視庁)   16位=21選手出場

1回戦 ●[0−2(1-5,3-6)]Edgar Yenokyan(アルメニア)

 《試合経過》2006年世界ジュニア選手権2位の相手に対して小平が積極的に攻撃したものの、前に落とされ、バックに回られて0−3と苦しいスタート。両脚タックルも取られ、1−5で先制された。第2ピリオドはタックル、ローリングなどで最初の1分に0−5。後半、小平が場外へ押し出し、さらにバックを取って追い上げたものの、時間が足りなかった。

【1回戦1P】先制された小平(赤)は場外で1点を返したが…。 【1回戦2P】小平はガッツレンチ(左写真)タックル(右写真)などで0−5とリードされた。

 【120kg級】荒木田進謙(専大)    17位=19選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ●[0−2(0-2, 0-1)]Antoine Jaoude(ブラジル)

 《試合経過》パンアメリカン選手権2位の相手に荒木田が攻めあぐみ、相手のタックルで第1、2ピリオドを落としてしまった。

【1回戦】パンアメリカン2位の選手と闘う荒木田(青) 【1回戦】第1、2ピリオドともタックルで点を取られた。 【1回戦】粘った荒木田だが、ポイントを取れず。


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