【特集】恵まれない環境を乗り切ってV2…男子42kg級・太田忍【2008年6月16日】







 男子42kg級は太田忍(青森・倉石)が勝ち、昨年の38kg級に続いて2年連続優勝を達成。茨城県レスリング協会会長賞を受賞した。決勝の黒沢翔(茨城・那珂湊)では、第1、2ピリオドとも投げ技でちょっぴり危ない体勢を迎えたりしたが、「ポイントを取られる気は全くしなかった。何も問題ないシーンでした」と言い切り、快勝をアピールした(右写真は決勝=青が太田)

 坂本日登美・真喜子姉妹の出身クラブである青森・八戸キッズ教室の選手。山口県協会の勝村靖夫会長が同クラブの代表だった時からレスリングを始めており、昨年の優勝は同教室の選手として初めての全国中学生チャンピオンになる。

 中学卒業後は山口県の強化の一環として、同県の高校で受け入れることが決まっており、同会長は「(2011年の)山口国体に向けて、力強い戦力になってくれると思います」と満足そう。

 階級をアップしたことに対しての困難は「特になかった」という。その自信を支えているのは豊富な練習量と思われるが、練習している八戸キッズ教室には同世代の練習相手がいないのが現実。2年前に姉・理穂選手(06年41kg級3位)が卒業して山口県の高校へ入学したあとは、「練習相手に恵まれず、練習量は減っていた」(八戸キッズ・関下孝道コーチ)のが実情だという。

 それでも「気持ちだけは高く持っていた」と同コーチ。時に八戸工大一高に練習にいくなどして、恵まれない環境を乗り切った。

 「高校では8冠(全国高校選抜大会2度、インターハイ3度、国体3度)を目指す。将来はオリンピック出場が目標。そのためにもっと技術を磨きます」と夢を大きく持っている太田。この2連覇を機に、さらに飛躍することができるか。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



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