【特集】グレコローマン66kgの救世主となるか!? イメチェン岡本佑士(拓大)が宣戦布告!【2008年10月24日】



 「飛龍高校(静岡)時代は7冠王者(2年時=JOC杯カデット、全国高校グレコローマン選手権、国体 / 3年時=全国高校選抜大会、インターハイ、全国高校グレコローマン選手権、国体)になったけど、大学に来てから勝っていなかった」。

 今シーズンから階級をひとつ上げてタイトルを狙っていた岡本佑士(拓大)が、全日本大学グレコローマン選手権66kg級の決勝でも大きなリフト技を決めて優勝(右写真=決勝で決めたリフト)。ついに大学チャンピオンの座についた。

■インカレV逸の反省を元に、2年生で大学の頂点へ

 スーパー高校生を経て拓大にスーパールーキーとして入学。昨年のJOCジュニアオリンピックカップ60kg級を1年で制し、拓大期待のルーキとして華々しくデビューを飾った。その後は大学の壁にぶち当たってやや停滞してしまったが、2年で大学の頂点を極めた。

 グラウンドが得意という岡本。自分の長所を生かすために“本職”はグレコローマンに定めた。自慢の背筋力を生かしたリフト技は圧巻で、拓大の西口茂樹コーチも「リフトを取ったら岡本じゃない」と言うほど。本人も“魅せる”レスリングのために試合では常にリフト技を意識してきた。

 身長が高いこともあり、今シーズンから本格的に66kg級に挑戦。減量苦がなくなった岡本は、6月の明治乳業杯全日本選抜選手権で、いきなり全日本3位の江藤紀友(自衛隊)をストレートで破って決勝の桧舞台に進出。決勝でも清水博之(自衛隊)相手に1−2の大接戦を演じた。その勢いで、第1シードで迎えた8月の全日本学生選手権では大学タイトル初戴冠といきたかったが、準々決勝でまさかの敗退。「油断していましたし、自分の技も出せず完敗でした」とベスト8の不本意な結果に終わった。

 気を引き締めて臨んだ今大会。岡本はスタイルのイメチェンを決行。得意なグラウンドはそのままに、全日本学生選手権後は弱点だったスタンドにもかなり時間を費やした。「米満(達弘)先輩が抜ける来年は、自分が66kg級代表として(リーグ戦など)フリースタイルも準備しています」と、フリースタイルを意識したスタンドでの攻防が光った。スタンドを終えた後は、「グラウンドは誰にも負けない」と“背筋力”を見せつけて派手に相手を転がした。

■12月の全日本選手権に照準を定め、来年は世界選手権へ

 「世界を目指せる逸材」と西口コーチに太鼓判を押されている岡本が理想としているスタイルは、海外選手に多い「瞬発力系のスタイル」だ。「ビッグポイントを狙いたい」と話し、来年の世界選手権出場も視野に入れている。すでに日本2位のポジションは経験済み。「12月の天皇杯では優勝できるようにしたい」と力強く語った。

 レスリングスタイルのイメチェンを図った岡本は、もうひとつイメチェンした部分がある。現代っ子風に長い前髪を揺らしながら60kg級で活躍してきた岡本が、トレードマークだった長髪をばっさり切って、サッパリとしたショートヘアーで臨んだのだ(左写真)

 「切れといわれると、切りたくないんですよ」と、かなりのこだわりをもっていたようだが、「切ってみると、(髪の手入れが)楽ですね」と苦笑。それでも、今時の大学生で今後もおしゃれには気を使いたい年頃のようで、今後もルックスもレスリングも“魅せる”岡本を敢行していく予定だ。

 アテネ五輪、北京五輪と2大会連続で五輪出場を逃している日本のグレコローマン66kg級。岡本が同級の救世主となるか−。

(文・撮影=増渕由気子)


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