【特集】ひと味違う団体優勝を2度経験、今年の関門はあと2つ…96kg級・山本雄資(山梨学院大)【2008年10月25日】



 96kg級は全日本選抜選手権王者の山本雄資(山梨学院大)が制し、8月の全日本学生選手権に続いて学生二冠王へ。今季3個目のタイトルを手にした。しかし山本にとっては、今季3個目のタイトルより、団体優勝できたことの方がうれしいこと。5月の東日本学生リーグ戦で優勝を経験し、チームが勝つことの喜びを知ったからでもあろうが、「高田監督から『今年は絶対に優勝するんだ』と言われていました」と、監督の気持ちがひしひしと伝わってきたからでもあった。

 初日が終わって日体大と6点差の2位。逆転可能な差だが、それには自分が優勝することが必要条件。「緊張しましたね」と言う。しかし動きが硬くなるほどではなく、自分のレスリングができたのは、「(2度の個人大会優勝の)経験でしょうか」と言う(左写真=決勝でがぶり返しを決める)

 「個人の優勝もうれしいですけど、やっぱり団体の優勝ですね」と言う。山梨学院大に入学後、昨年までの3年間、チームの優勝には無縁だった。学生最後の年のリーグ戦でやっと団体優勝の喜びを経験。そして今回の優勝。「団体優勝の喜びはひと味違います」ときっぱり。

 当然、来月の全日本大学選手権で最後の団体優勝を狙いたいところ。96kg級には木暮僚太もおり、どちらが起用されるか分からないが、出場できなくとも、チームの一員として団体優勝の喜びを最後に味わいたいという。

■全日本選抜王者になっても、加藤賢三、松本慎吾との実力差を感じる

 一方で、12月の天皇杯全日本選手権で個人の実力を再度試してみたい気持ちもある。6月の全日本選抜選手権では優勝できたものの、北京五輪代表の加藤賢三(自衛隊)との実力差は明白で、1階級下の松本慎吾(一宮運輸=84kg級)にも間違いなく劣っている。そんな状況では、とてもチャンピオンを名乗れない。

 加藤は現役引退を表明しており、松本もグレコローマンの選手活動にはピリオドを打った。目標としてきた選手との闘いはかないそうにもないが、圧勝優勝で飾り、2人との実力差が縮まったと感じるようでなければ、喜びは沸いてきそうにもない。

 「学生二冠王なんて言っても、気を抜くことはできません。もっとしっかり練習しないと…」。個人にとってもチームにとっても、最高の年になりそうな2008年だが、最後をしっかりと締めるため、厳しい闘いは続く。

(文=樋口郁夫、撮影=増渕由気子))


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