【特集】大阪のレスリング界を支える“白衣の天使”…押立杯から(2)【2008年10月28日】



 22回目を迎える押立杯関西少年選手権は、毎年地元の吹田市民教室の保護者がボランティアで大挙して参加し、500人を超える選手が集う大会を支えている。しかし、吹田以外のボランティアも活躍している。

 医務で参加している辻本頼子さん。大阪・四条畷北高校の養護教員(保健室勤務)で、仕事を通じてお世話になった大阪府協会の中田保彦副会長(関西福祉科学大職=前国際特級審判員)に誘われ、今年5月からレスリングの大会の救護に携わることになった。

今大会も、審判副委員長を務める中田さんの紹介で役員入りし、キッズ選手の熱き闘いに魅入っていた(右写真=辻本さんと中田・府協会副会長)。キッズの大会は2回目という。

 8月には堺市で行われた全国高校生グレコローマン選手権にも参加。この時は肩を脱きゅうをした選手と遭遇した。養護教員は応急処置はできるが医療行為はできない。ちょっぴり焦ったというが、柔道整復師がいて、すぐに肩を入れてくれてひと安心。緊張することの多い役職だが、「キッズの試合はかわいいですね」という楽しさも。

 高校生に比べると体が柔らかいこともあり、大きなけががないのがキッズレスリングと言われる。救護の目から見ても、それは感じる。「ヒヤリとするようなケースでも、しばらくするとケロッとしています」。

 それまでオリンピックの時にテレビで見かける程度だったレスリングを生で見た感想は、「1人で考えて最後まで闘わなければならないスポーツ。戦略も多くありそうで、奥の深いスポーツ」。自身はソフトボールの選手であり、同校ではラグビー部の顧問を務めている。団体競技に浸かっていただけに、個人競技の魅力を発見したといったところ。

 ちょっとした出血などの場合は、けがのケア以上に「続けられるように心理面のケアに力を入れるようにしています。励まして試合が続けられるように元気を出させます」と気を遣っている(左写真=負傷した選手の手当てをする辻本さん)

 もっとも、辻本さんも子供たちからエネルギーをもらっているという。「一生懸命に闘う子供たちの姿や、それを支える父母の姿を見ていると、元気というか、生きる力をもらっています」。自らも小学校3年生の親。子供たちを熱心に応援する父母の姿には、感じるものがあるようだ。

 「危険の少ないスポーツですね。(ラケットを振るような)片方の腕だけを使うスポーツとは違って全身運動。スピードも持久力も養われる。安全でいいスポーツだということをアピールするべきです」。ひょんなことから踏み入れたレスリングの世界。どっぷりと浸かってくれることを望みたい。


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