【特集】門間順輝主将が復活! 日体大が無冠を食い止められるか…全日本大学選手権展望【2008年11月12日】



 今シーズンの学生大会も大詰め。11月15〜16日に新潟市で内閣総理大臣杯全日本大学選手権が行われる。五輪イヤーとなった2008年は、5月の東日本学生リーグ戦は7年ぶりに山梨学院大が制覇。北京五輪直後に行われた全日本学生選手権(インカレ)は日体大が8階級を制して大勝した。

 学生シーズン後半戦の初戦となった9月の全日本学生王座決定戦(フリー王座)は早大が初優勝。10月の全日本大学グレコローマン選手権(グレコ選手権)は山梨学院大が重量級で逆転し今季2冠。最終タイトルとなる全日本大学選手権で、山梨学院大が3冠を達成するのか、早大がフリー王座優勝の勢いで古豪の完全復活をアピールするのか。それとも、大学レスリング界の雄・日体大が意地で今シーズンのラストを締めるのか。

 2008年の学生最終決戦がもうすぐ始まる。(文=増渕由気子)


■主将の不在で連続2位の日体大。主将登場で優勝なるか

 8月のインカレでは、五輪効果でぶっちぎりの大勝を収めた日体大。秋の学生3大大会では日体大圧勝の声も多かった。だがグレコ選手権を終えて、今季はいまだに無冠。9月のフリー王座では、インカレで大敗した早大にまさかの逆転負け。グレコ選手権も2位にとどまり、3年ぶりのシーズン無冠に“王手”をかけてしまった。(インカレは個人戦のみで、団体での闘いはない)

 3大会連続2位に甘んじてしまった理由を、安達巧監督(右写真)は「主将の門間(順輝)の不在が響いた」と振り返る。84kg級の門間は連覇を目指してインカレのマットに立ったが、試合中にあばら骨を負傷して棄権。回復が遅れ、日体大はチームの柱を欠いた状態での闘いを余儀なくされた。フリー王座決勝では早大に3−4で敗れ、あと1勝が足りなかった。グレコ選手権は60kg級が無得点に終わり、頼みの綱である84kg級の松本篤史が3位どまりで山梨学院大に逆転負けを喫した。それでも、「チームにショックはない」との安達監督の言葉通り、大会が迫った日体大のレスリング場にはいつもどおりの活気があふれている。 
 
 その門間主将に負傷から復帰のめどが立った。門間はチームは立て続けにタイトルを逃した大会を、「出場したかった」と悔しそうに振り返った。門間が1年生の時、日体大は31年ぶりに無冠に終わってしまった。その時の先輩たちの悔しさを間近で見ている。「優勝しないと、最後の集合写真で優勝旗など飾るものがなくなってしまう」と、日体大の意地を見せるけることを約束した(左写真=日体大の無冠を防げるか、主将の門間)

 55kg級学生王者の守田泰弘をはじめ、インカレで4階級を制した日体大が2008年の最終決戦を笑顔で締めくくることができるか。


■3冠目指す山梨学院大が優勝候補最右翼か?

 全日本大学選手権はフリースタイルのため、東日本学生リーグ戦で優勝を飾った山梨学院大や、フリー王座優勝の早大が優勝候補最右翼だ。山梨学院大は60kg級に大沢茂樹の起用が有力。インカレは総合格闘技の活動のため欠場したが、チャレンジおおいた国体で優勝。相変わらずなセンスのよさを見せつけた。

 66kg級の森川一樹や、74kg級の奈良部嘉昭主将が順当に上位に進出し、個人四冠を狙うロシアからの留学生、ボリス・ムジコフらが控えている重量級に勝負を回せば3冠達成は難しくない(右写真=リーグ戦Vで胴上げされる下田正二郎部長。今季3度目の胴上げなるか)


■拓大は須藤監督の初さい配で大会3連覇目指す

 昨年、日体大4冠の夢を打ち砕いたのが拓大だ。2年前に三冠(フリー王座、グレコ選手権、内閣)を達成したメンバーの印象が強すぎて、昨年、今年の印象はかすみがちだが、インカレ2連覇の米満達弘主将の安定性は、他大の主将より飛びぬけている。

 また、ルーキーの高谷惣亮(全日本選手権準優勝)の加入に加えて、66kg級にシフトチェンジした岡本佑士はフリースタイルにも力を入れており、グレコ選手権に続く2冠も十分に狙える。また、元総合格闘家の須藤元気氏が監督に就任することになり(13日に会見予定)、チームは盛り上がっているはず。須藤監督の初さい配で大会3連覇を飾れるか。


■古豪の完全復活を目指し、2冠目指す目指す早大

 フリー王座初優勝を祝って11月1日に都内で盛大なパーティーを催した早大。早大関係者をはじめ、在学選手の高校の恩師なども一堂に顔をそろえ、豪華な会となった。関係者によると、納会やOB会などの定期的なパーティー以外では近年初めてという。伊江邦男監督は、「全日本大学選手権でも勝ったら、ぜひまた(パーティーを)やりたい」と笑顔。選手たちもシーズン最後の制覇に意欲を見せており、初の二冠へエンジンは全開だ。


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