テクニカルフォールは8点差…2009年1月1日実施の新ルール【2008年11月18日】



 日本協会審判委員会は新潟市で行われた全日本大学選手権の監督会議で、2009年1月から実施される国際レスリング連盟(FILA)の新ルール案を発表した。今月末にスイスで行われるFILA理事会にて論議のえう、正式に決定される。

 斎藤修審判委員長、高田裕司専務理事とも、「FILA理事会で正式に決定したなら、1月を待たず、12月21〜23日の天皇杯全日本選手権で新ルールを採用したい」と話している。斎藤審判委員長は、「高校生は4月1日実施でいいと思う」としている。

 新ルールは下記の通り(FILA理事会にて修正される場合がありますので注意ください)

★すべてのスタイル(男子両スタイル、女子)で、テクニカルフォールが「8点差」に変更(従来は6点差。5点技1回、3点技2回でのテクニカルフォールは変更なしの予定)

★グレコローマンにおいて、最初のスタンドでの1分間でポイントが成立した場合、従来行われていたグラウンドの攻防は行わない(後半の1分間もスタンドの攻防のまま)

★グレコローマンにおいて、最初のスタンドの1分間で0−0の場合は、従来通りのボールピックアップを行い、グラウンドの攻防が行われる。ただし、従来のクロスボディロックの組み手ではなく、ノーマルなパーテールポジションで行う。

 一見すると、グレコローマンにおいてスタンド戦でポイントを取りにいくシーンが増えそうだが、1988年ソウル五輪・1992年バルセロナ五輪グレコローマン62kg級代表の西口茂樹・拓大部長は「変わらないと思う。息を上げてでもスタンドでポイントを取りにいく選手より、グラウンドに勝負をかける選手の方が多いと思う」と予想し、グラウンドの攻防に比重をおく従来の練習を続けるという。

 北京五輪を最後に指導にまわるグレコローマン84kg級の松本慎吾選手(一宮運輸)も「多少、スタンドでのアクションが増えても、基本は変わらないでしょう。1分間はすぐ。この間にポイントを取るのは厳しい」と予想する。以前のようなパッシブ(消極性)というルールがあればともかく、それがない現状では、スタンド戦は流してグラウンドで勝負をかける今のスタイルが続くと見ている。

 ただ、2人ともグラウンドの攻防がクロスボディロックからノーマル・パーテールポジションになることで、多少の違いが出てくると指摘する。「防御で立ち上がる選手がいなくなる」(西口部長)、「俵返しが有効になってくる。現在のルールでは、俵返しの防御技術が磨かれて、かからなくなった。俵返しの攻撃が少なくなる分、今度は防御技術が落ちてくる」(松本選手)。

 高校生はノーマール・パーテールポジションの攻撃をやったことがなく、「戸惑うかもしれない」(斎藤審判委員長)という声もある。


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