【特集】あばら骨負傷のハンディをはね返し、主将の意地見せる…96kg級・門間順輝(日体大)【2008年11月17日】



 2008年学生大会最終戦(新人戦は除く)の全日本大学選手権は、日体大が5年ぶり19度目の優勝で幕を下ろした。大会MVPには日体大主将で96s級で優勝した門間順輝が選出された(右写真=MVPを受賞。右は伴義孝全日本学生連盟会長)。門間主将は最後の学生大会を優勝で締めくくったことでホッとした様子。表彰式後は優勝カップとともにチームで記念撮影を行った。

 大学3年の昨年、全日本学生選手権の84s級を制し、学生四冠王の斎川哲克(現両毛ヤクルト)から主将のバトンを受け取った門間。主将として迎えたシーズンは順風満帆ではなかった。8月、全日本学生選手権2連覇を狙った門間にアクシデントが起こる。ローリングをこらえたときにあばら骨を骨折し、インカレ2連覇どころか、9月から始まる学生シーズン後半も絶望という状況に追い込まれてしまった。「けがした当初は、寝起きも一人ではできませんでした」と当事の怪我の具合を振り返る。

 自身が戦線離脱したことで、日体大は9月の全日本学生王座決定戦、10月の全日本大学グレコローマン選手権を2大会連続で2位に終わってしまう。「主将として、負けたままで終われなかった」と、この悔しさをバネに、痛みは残るものの、たった2ヶ月でスパーリングができるまでに回復させた。


■門間をマットに立たせるために、日体大医療チームが必死の努力

 「今回の目標は両方(団体と個人)優勝だった」と、復帰戦にもかかわらず相当な気合で臨んだ門間には、今大会を乗り切る作戦があった。それはバックを取られないこと。「ローリングであばらを絞られると痛いので」(門間主将)、組み手でタックルを防いだ。さらに、やられる前に自分から攻めて点数を重ねた。その結果が無失点での優勝につながったのだ。

 大会MVPに選出された門間だが、門間は「3年生が頑張りました」と後輩を評価。また、骨折から2ヵ月でマットに復帰させてくれた日体大医療チームに感謝の言葉を繰り返した(左写真=無失点で優勝した門間)。あばら骨の骨折は本来2ヵ月で完治しない。門間の熱意に押された医療チームがあらゆる手段を使って短期間で門間をマットに立たせてくれたのだ。

主将・門間が戻ってきた日体大は、2008年シーズンの本来の姿。学生タイトル最終戦にして、やっと日体大が「いつもどおりの強さ」で団体優勝を飾った。

(文・撮影=増渕由気子)


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