【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン74kg級・鶴巻宰(自衛隊)【2008年12月23日】



 男子グレコローマン74s級は鶴巻宰(自衛隊)が4年ぶり2度目の優勝を飾った。

 2005〜07年まで同級3連覇の岩崎裕樹(銀水荘)が欠場し、2007年の世界選手権代表という意地もあり、鶴巻は何が何でも頂点に返り咲きたかった。しかし現実は厳しかった。準決勝で倉谷修平(日体大)相手に第1ピリオドを0−6で奪われるなど苦戦しての決勝進出。決勝戦も厳しい戦いを強いられた。決勝に勝ち上がってきたのは今年の全日本学生選手権優勝の金久保武大(日本体育大学)

 第1ピリオド、両者ポイント0−0のため、ボールピックアップとなり鶴巻が投げを見舞って1ポイント奪ったものの、バックに回られて1ポイント返される。攻守交代し、ローリングの攻防で両者が2ポイントずつ奪うという接戦。ラストポイントによって金久保が第1ピリオドを奪った。第2ピリオドも0−0で、ボールピックアップはまたも鶴巻。がぶりながら、抑え込み2ポイント奪取。防御ではしっかり守り切って1ポイントを加え、このピリオドを3−0で取った。

 迎えた第3ピリオド。両者ポイントを奪えないまま時間が経過。3度目のボールピックアップも鶴巻が取ったが、金久保は守り切った。攻守交替。鶴巻も守り切り、ラストポイントで鶴巻がどうにか4年ぶりのV2を果たした、しかし本人曰く、「失点なしの闘いをしなければいけなかったのに、グラウンドでも失点してしまい、反省点も多かった」。優勝したとはいえ、散々な大会となった。

 10月に左ヒザの内側靭帯を損傷して、決して万全とはいえない状態だったが、「ケガをしていても国内では勝たなければいけませんから。もう情けない試合はできない。オリンピックには出場できませんでしたが、気持ちを切り替えてプラス思考になってます。09年こそ世界で活躍したいです」と気を引き締めた。

(取材・文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)


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