【全日本選手権優勝選手】男子フリースタイル120kg級・荒木田進謙(専大)【2008年12月23日】



 男子フリースタイル120s級は、高校2年生の2004年から4年連続で2位だった荒木田進謙(専大)が初優勝。決勝で対戦するはずであった相澤優人(日大)が、準決勝でフォール勝ちを収めたものの、その代償として足を負傷。無念の欠場となったため、決勝のマット踏むことができなかった。

 この階級は130s級時代を合わせれば、2001〜07年まで7年連続で田中章仁(FEG)が制覇。その田中が引退したため、後継者争いがどのように展開さされていくのかに注目されたが、決勝は戦うことなく荒木田が優勝を飾った。「相澤選手の決勝戦欠場は本人から報告を受けました。何度も顔を合わせている仲ですし」。

 拍子抜けともいえる優勝だったとはいえ、荒木田にとっては非常に価値のあるトーナメントだったことは事実。「2回戦がやりにくい相手だったので、無事に勝ててホッとしています。高校の時から目標にしている人でした」と、下中隆広(国士舘大大学院)戦を振り返った。

 初優勝した荒木田は今年を振り返って、「世界ジュニア3位は、ダメ元で開き直って闘ったら3位になれた感じです。いつもギリギリのところで戦っているんですよ」と笑顔で語った。だが、6月の明治乳業杯全日本選抜選手権と合わせて全日本二冠を達成したこともあり、国内屈指のフリースタイル・ヘビー級王者に期待する声も多い。

 前述の田中が築きあげた全日本での連覇といい、世界での活躍といい、弱冠20歳の荒木田には可能性を感じる。2006年アジア・ジュニア選手権優勝、そして今年の世界ジュニア選手権3位という実績から、一部では“外国人に強い”という評判まであるくらいなのだ。

 このことについて荒木田は「試合に関してはギリギリで戦っている」と謙遜したものの、「記録を作っていきたい」と大きな目標を掲げた。荒木田がシニアの国際舞台で活躍するのも、そう遠くないのではないだろうか。

(取材・文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)


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