【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン55kg級・長谷川恒平(福一漁業)【2008年12月23日】



 2004年アテネ五輪代表の豊田雅俊(警視庁)とアジア3位の実績を持つ平井進悟(ALSOK綜合警備保障)が引退し、完全に世代交代がなされた男子グレコローマン55s級。決勝戦は、今年のアジア選手権3位で2連覇を狙う長谷川恒平(福一漁業)と昨年のアジア選手権5位の峯村亮(神奈川大職)の若手二人の一騎打ちとなり、長谷川が2連覇を達成した。

 長谷川は昨年の全日本選手権で豊田、平井を退けて初優勝。その後は日本代表としてアジア選手権で3位入賞を果たし、北京五輪出場の期待が高まったものの、五輪最終予選第1ステージ(イタリア)では初戦敗退と結果を残せなかった。

 だが、すぐに気持ちを2012年ロンドン五輪に切り替えて6月の全日本選抜選手権で初優勝。9月の大分国体でも優勝している。対する峯村も大分国体で元48s級世界選手権代表の村田知也(三重県・久居高教)を撃破し、この大会の1回戦でも村田に勝って決勝に上がってきた。

 試合は、峯村との対戦成績が負けなしの長谷川が優位に試合を運ぶと思われていた。しかし、「1週間前に左ひざをけがしてしまい、最後の追い込みでマット練習ができませんでした」という長谷川が思わぬ苦戦。3ピリオドともにテクニカルポイントを奪えず、コイントスの優位を生かしての勝利。「決勝戦は0点です」と厳しく自己採点をした。

 1年前の天皇杯で全日本王者になり、2008年は日本代表としてアジア選手権、北京五輪予選代表、そして北京五輪に男子グレコローマン60s級の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)の練習パートナーとして帯同し、世界のレスリングを目の当たりにした。長谷川にとって今までで最も濃い一年となった。

 2008年の国内大会では無敗と日本のエースに成長した長谷川だが、海外での成績はまだまだ。3月のアジア選手権では世界V3のハミド・スーリアン(イラン)に5点リフト技で投げられてしまうなど、グラウンドでの課題も見つかったシーズンでもあった。けがをしながらも年内最後の大会をしっかり優勝で締めたことは、日本代表のプライドからか。長谷川の2009年シーズンの活躍が楽しみだ。

(取材・文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)


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