【全日本選手権優勝選手】男子グレコローマン66kg級・藤村義(自衛隊)【2008年12月24日】



 北京五輪60kg級代表の笹本睦(ALSOK綜合警備保障)の参戦で注目を集めた男子グレコローマン66kg級は、これまで2位、3位の多かった藤村義(自衛隊)が初優勝を飾った。笹本は2回戦で大学王者の岡本佑士(拓大)に敗れた。優勝した藤村は「笹本さんとは練習でも分が悪いので、闘いたくなかったので、ホッとしました」と正直に話した。

 また、この階級(旧63s級時代を含む)は飯室雅規(自衛隊)が2000〜07年まで8連覇していた階級で、飯室の引退で絶対政権が終わり、新しい時代の顔となるのは、いったい誰になるのかが注目された階級でもあった。結局、準決勝は清水博之(自衛隊)−江藤紀友(自衛隊)、藤村−岡本という顔合わせ。新しい時代に相応しい顔ぶれとなった。

 自衛隊勢がベスト4に3人進出した中、決勝には清水と藤村が勝ち上がって自衛隊同門対決へ。藤村が開始早々がっちりと四つ組みを決め、投げから一気にニアフォールの体勢にもっていき4−0で先制。なおもニアフォールの体勢で攻め続け、第1ピリオド1分24秒、フォール勝ちでの初優勝だった。

 同門対決の決勝戦となったことに関して、藤村は「手の内は知り尽くしています。やはり嫌ですよね。でも練習では自分の方がいくらか分があるので、いい勝ち方ができてよかったです」と言う。しかし満足度は高くない。「優勝はできたのですが、減量がきつくて自分本来の動きができなかったのが悔しい。優勝ということにはうれしい以外の何ものでもありませんが…(笑)。次の大会からは減量に失敗しないようにして、自分の力を出せるようにしないといけないですね」と唇をかみ締めた。

 藤村は初優勝にくわえ、グレコローマンスタイル優秀賞も受賞し、二重の喜び。2009年は飯室の抜けた穴をしっかりと埋められるか。

(取材・文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)


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