81歳の元全日本王者が元気に参加…全日本マスターズ選手権2007年1月15日】







 平成も19年に突入した2007年の全日本マスターズ選手権に、大正生まれの元全日本チャンピオンが出場した。81歳(大正14年生まれ)の米盛勝義さん(鹿児島県在住=中大OB、写真)で、2001年にこの大会がスタートして以来、6年連続での出場。 1952年全日本選手権のフリースタイル・バンタム級、55年の同フェザー級で優勝。54年には東京開催の世界選手権フリースタイル・バンタム級にも出場し、その後、鹿児島県協会の会長などを務めている。

 今年はDivision E(65歳以上)66kg級の出場が1人だったため、Division D(61〜64歳)同級の新津秀明さんと対戦。開始早々に見事ながぶり返しを見せるなど健闘し、2分2ピリオドを闘って2−0で勝った。

 「レスリングは生涯スポーツですからね」と、気持ちよさそうな米盛さんは、地元にレスリング・クラブがないため、近所の柔道教室で中学生を指導しつつ体を鍛えているという。乱取り(スパーリング)もしっかりこなすそうで、「まだ中学選手には投げられません。逆に投げますよ。寝技が得意なので、押さえ込みにも自信があります」と言う。

 闘った新津さんは「技のタイミングはすばらしいですね。特に最初のがぶり返しは、見事にかかってしまいました」と苦笑い。下になった時も上からの圧力がすごく
(右写真=赤が米盛さん)、攻撃する気持ちが伝わってきたという。「攻撃する気持ちを持っていました。けがをすることなく毎年出場するなんて、すごいことですね」と、81歳の挑戦に脱帽した。

 この大会がスタートするまでは、全日本社会人選手権の年齢別の部にも出場を続け、69歳の1995年まで20年近く連続出場を続けた。96年に家族の事情で出場が途切れたが、97年に復活。98年欠場のあと、99〜01年まで出場し、以後はこの大会に絞って出場した。

 激しいスポーツだけに、けがとの闘いもあると思われるが、「けがらしいけがはしたことがありません」と言う。その秘訣を尋ねると、「けがをしないのも技のうちですよ」とにっこり。血圧が多少高い以外は、「体のすべてが健康。どこも悪いところはありません」と言う。

 中大時代から数えると、60年を超えるレスリング歴。米盛さんの頃から中大が強くなり始め、1956年メルボルン五輪優勝の笹原正三氏(日本協会前会長)や1964年東京五輪優勝の渡辺長武氏らが生まれ、黄金時代を築いた。「あの頃の練習は厳しかったけど、あれが今の基礎になっていますね」と、猛練習に明け暮れた日々が懐かしそうだ。

 「できる限り長く出場を続けたい」と話し、特に何歳まで出るとかは決めていない。「目標があるから頑張れます。来年も出ますよ」。来年もその勇姿が見られることを期待したい。


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