【優勝選手特集】女子59kg級・西牧未央2007年1月27日】







 少年少女レスリングの名門、大阪・吹田レスリング教室でレスリングを始め、中学時代から将来の日本女子レスリングを背負って立つ逸材と言われながら、愛知・中京女大付高(現至学館高)時代は減量失敗など精神的な甘さを露呈し続けて結果を残すことができずにいた“未完の大器”西牧未央(中京女大)が、女子59kg級で遂に日本一に輝いた。

 世界選手権2連覇中の正田絢子(ジャパンビバレッジ)が63`級に戻ったとはいえ、59kg級は2005年世界ジュニア選手権優勝の山名慧(中京女大)、2006年世界学生選手権優勝の島田佳代子(日大)など強豪揃い。第1シードの西牧は準決勝から出場すると、後輩・佐藤文香(愛知・至学館高)を6−0、3−0と完封。島田を破って決勝に進出した山名との同門対決では、弱冠19歳とは思えぬ落ち着いた試合運びで、第1ピリオドに2度相手を場外に出して確実にものにし、第2ピリオドも相手を動きを冷静に見切った戦いでポイントを重ね2−0。初優勝を飾った。

 笑顔で臨んだ優勝者インタビュー。マイクを向けられた西牧は、「自分一人では決して優勝できませんでした。チームメートに感謝しています」と切り出した。3人もの世界チャンピオンとともに生活し、練習できる最強の環境。正田絢子をはじめ、2006年世界選手権で銅メダルを獲得した高塚紀行(日大)など、吹田市民教室出身者の活躍も、西牧にとっては力強い追い風となったことだろう。

 そのことを西牧自身、日本一となった今痛感しているに違いない。目指すは世界選手権。これからの西牧の活躍が、世界に最強を誇る日本女子レスリングの層の厚さの証明となる。

(文=宮崎俊哉、撮影=矢吹建夫)


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