【優勝選手特集】女子67kg級・井上佳子2007年1月27日】







 「今までは追う立場だったけど、やっと勝ててうれしい」。中京女大のOGである坂本襟(ワァークスジャパン)と新海真美(中京女大)を倒して女子67kg級で初優勝を飾った18歳の井上佳子(愛知・至学館高)は、落ち着いた表情にも笑みがこぼれた。

 準決勝で前回チャンピオンで世界選手権3位の坂本と当たったが、冷静に試合を進めた。第1ピリオドはコイントスで勝ち、テークダウンを奪って1−0。第2ピリオドでは場外で1点を取り、そのままのスコアで勝利した。

 決勝の相手・新海には昨秋の世界選手権代表決定参考試合で2連敗中だったが、「最近は練習でも少し取れるようになった」と手応えを感じて臨んだ。第1ピリオドではコイントスで勝ったが、第2ピリオドはタックルから点を取って2―0。「コイントスは運が良かったけど、第2ピリオドでは自分で点が取れたのでうれしかった」と自身の成長も感じることができた。

 井上にとって、昨年5月のワールドカップ(名古屋)出場が大きな力となった。坂本の足のケガによって巡ってきたチャンスだったが、光るプレーを見せた。先輩たちに囲まれ世界と戦ったことが「いい経験になった」と振り返る。

 今、井上の目にははっきりと目標が映っている。今回の優勝だけでは満足しない。「(4月の)クイーンズカップでも優勝して、私も早く世界選手権で金メダルをとりたい」。高校生とは思えない、力強い目で言った。2002年の伊調馨以来となる高校生での全日本チャンピオンは、今後も注目したい逸材であることは間違いない。

(文=神谷衣香、撮影=矢吹建夫)


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