【優勝選手特集】男子グレコローマン96kg級・加藤賢三2007年1月27日】







 プロレス(ケンスケ・オフィオス)入りを決めている山口竜志(拓大)目当てに、いつもとは違うメディアも来場。ふだん以上に注目された男子グレコローマン96kg級の決勝戦は、世界選手権代表の加藤賢三(自衛隊)が、得意の首投げとローリングで山口を一蹴。強烈な“餞別”を渡してプロの世界に送り出した。

 この先もレスリングを続ける選手にとって、プロレス入りする選手相手には絶対に負けたくない気持ちがあるのは当然だろう。加藤も「負けたくない」という気持ちがいつも以上にあることは否定しなかった。

 ただし、それは「レスリングを去る選手に負けたくない」という理由ではなく、「いずれボクもプロレスへ行きますから」と、将来のライバルというか目標になるであろう相手に負けたくない気持ちから。次に相対する時は四角いリング上での闘い? その時に大きな心理的優位ができたといえるだろう。

 もちろん今は北京オリンピックへ向けて気持ちがいっぱい。新ルールに変わった直後は世界で全く勝てなかったが、昨年8月のピトラシンスキ国際大会(ポーランド)で初勝利をマーク。9月の世界選手権では1勝して11位へ。前進していることは間違いない。

 「このまま頑張りたい。アジア大会で自衛隊選手が2人もメダルを取り、チームも燃えている」と、その流れに乗ってさらなる飛躍を誓った。

 なお、山口の決勝戦のセコンドについた北斗晶は「負けを知らない人間は本当に強くなれない。負けてもいい。この負けをばねに、プロでがんばってほしい」と、山口の激闘をねぎらいつつ、プロとして大成させることを拓大・西口茂樹コーチに約束した。

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)



《前ページへ戻る》