【優勝選手特集】女子48kg級・伊調千春2007年1月28日】







 2004年アテネ五輪前から伊調千春(現ALSOK綜合警備保障)と坂本真喜子(現自衛隊)のライバル争いが続く女子48kg級。これまでの対戦成績は、伊調が坂本を4勝1敗と大きくリードしている。しかし内容は接戦ばかり。2005年全日本選手権と2006年ジャパンビバレッジクイーンズカップでの対戦では、全ピリオド1−0。そのうち3ピリオドは制限時間内では0−0で決着がつかず、延長戦のコイントスが全て有利となった伊調が勝利をつかんでいた。

 今大会、昨年の世界選手権とアジア大会で金メダルを獲得したチャンピオン伊調に対し、坂本がどんな戦いを挑むか。注目の伊調と坂本の決勝は、第1ピリオド1分以上にわたる組み手争いの末、最初に仕掛けたのは坂本だった。

 伊調がタックルを避けてつめてきた間合いから、坂本が片足タックルを決め、伊調の右足を取ってテークダウン。1ポイント先制したが、今度は伊調が腕をとってしつこく絡み、足をかけて倒すとバックに回り1ポイント獲得。そのまま終了となり、ラスト・ポイントを奪った伊調が第1ピリオドを制すと、第2ピリオドは伊調が腕を決めて倒し、そのままニアフォールに入り3−0。2年連続4度目(1度は51kg級)の優勝を飾った。

 自分から積極的に動き、スピードあるタックルで攻める坂本。鉄壁の防御を誇り、カウンターでワンチャンスを確実にもにする伊調。2人の持ち味がぶつかり合った見応えある対決となったが、勝ち方を熟知した伊調の試合運びの前に、またしても坂本は敗れ去った。

 それでも、優勝者インタビューで伊調は「真喜子は北京オリンピックまでずっと戦っていかなければならない強い相手」とコメント。世界一レベルが高く、過酷な国内での代表争いはまだまだ続きそうだ。

(文=宮崎俊哉、撮影=矢吹建夫)


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