【優勝選手特集】男子フリースタイル55kg級・松永共広2007年1月29日】







 男子フリースタイル55kg級は、前回優勝者の松永共広(ALSOK綜合警備保障)がドーハ・アジア大会銅メダリストの田岡秀規(自衛隊)との頂上対決に競り勝ち、3連覇を達成した。

 実力が拮抗(きっこう)する2人の対決は息詰まる展開となった。第1ピリオドは、松永が終了間際にタックルを決めて先制した。第2ピリオドは互いにノーポイントのまま延長戦へ。ここで攻撃権を得たのは田岡だったが、松永がピンチをしのぎ切り、30秒を守って1点を取り、見事に栄冠を手にした。

 松永にとって2006年は悪夢の1年だったかもしれない。世界選手権に王手をかけた6月の全日本選抜選手権で田岡に破れ、続くプレーオフでも黒星。土壇場で逆転を許した悔しい内容だった。一方のライバルは世界選手権出場を経て、アジア大会では銅メダルを獲得した。

 そんな田岡の活躍を眺めながら、松永は「実力のある選手なのでメダルは狙えると思っていたけど、次は絶対に自分が出てやると思った」と闘志を燃やしていたという。

 “挑戦者”として迎える今大会に向けては、特にライバル対策はせず、得意のタックルを磨くことで実力アップを図った。「自分が取れるポイントはタックル。崩しから研究して練習してきた」。決勝で第1ピリオドを奪ったタックルは練習の賜物だった。

 これで昨年と同じパターンが成立。松永は「天皇杯で勝っても選抜で勝たなければ意味がないことは十分に実感している」と気持ちを引き締めていた。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)


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