【優勝選手特集】女子55kg級・吉田沙保里2007年1月29日】







 12月のドーハ・アジア大会で金メダルを獲得するとともに、連勝記録を「100」に伸ばした女子55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)に、世界選手権51kg級2連覇中の坂本日登美(自衛隊)が2002年全日本選手権以来4大会ぶりに挑戦した女子55`級決勝戦。

 第1ピリオド、自衛隊の藤川健治監督の指示通り間合いを詰め、しっかり構える坂本に対し、吉田もタックルに入れず、1分20秒までこう着状態が続いた。先取点を奪ったのは吉田だった。坂本を崩し、バックに回って1ポイント獲得すると、終了間際にも1ポイント追加して2−0。

 第2ピリオドも、坂本は吉田のタックルを許さず、一進一退の攻防が続いたが、1分15秒、吉田が胴タックルからテークダウンを奪い3ポイント。5秒ルールで1ポイント加えて4−0とし、大会5連覇を達成した。

 優勝が決まった瞬間、吉田は右手を高々と突き上げた。優勝インタビューでは、「下の階級から挑戦してくる選手には絶対に負けられないので、気合を入れて大会に臨みました。北京オリンピックで連覇することが夢なので、それに向けてがんばります。応援よろしくお願いします」と、言葉を一つ一つ選び、自らに言い聞かせるようにハキハキと語った。

 一方、敗れた坂本も、試合開始25秒にきれいな両足タックルを決められ、そのまま仰向けにされてフォール負けした2002年とは違い、悲壮感など微塵も感じさせず堂々とマットを降りてきた。4月14日のジャパンビバレッジ・クイーンズカップを見据えて次のように
告げた。「勇気を持って、作戦通り前に出ることができました。ここまでやってきたことに不安はありません。あの世界チャンピオンの沙保里と勝負できるところまできました。次は私が勝てるよう死ぬ気で練習します」

 北京オリンピック女子55kg級は、吉田沙保里、坂本日登美、どちらが出場しても日本の金メダルは間違いない!

(文=宮崎俊哉、撮影=矢吹建夫)


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